
2026年1月15日
チャットボット導入を検討すると、ほぼ必ず出てくる話題は「シナリオ型とAI型、結局どちらがいいの?」という疑問です。ただしここは、「AIのほうが新しいから正解」といった単純な話ではありません。実務での向き不向きは、主に次の要素で決まります。
問い合わせの型(手続き型か、相談型か)
表現のばらつき(言い回しがどれだけ多様か)
求める体験(正確さ重視か、柔軟さ重視か)
誤案内が与える影響(リスクの大きさ)
この記事では、導入判断に必要なポイントを整理します。
結論:迷ったら「目的」で決める!
手続き・申請・確認など、抜け漏れなく案内したい → シナリオ型が強い製品・サービスの相談など、質問が多様で曖昧さがある → AI型が強い
「どっちが優れているか」より、何を自動化したいかが重要です!

シナリオ型チャットボットとは?
シナリオ型は、あらかじめ決めた質問と回答の流れ(シナリオ)に沿って応答する仕組みです。
ユーザーは選択肢を選びながら進むため、案内の流れを一定に保ちやすいのが特徴です。
特徴
「はい/いいえ」や選択肢で進む
想定外の質問には対応しにくい
挙動が分かりやすく、運用側で制御しやすい
例:「お問い合わせ内容を選んでください」
→ 「配送について → 返品について → その他」
いわゆる道案内のイメージで、決めたルートを丁寧に誘導したい場面で強みがあります。
AI型チャットボットとは?
AI型は、ユーザーの入力文を解釈し、意味に近い情報を探して回答する仕組みです。近年は生成AIの活用により、言い回しが多少変わっても意図を汲み取り、会話として自然な応答を作りやすくなりました。
特徴
自由入力に対応できる
言い回しの揺れ(表現違い)に強い
精度は「参照する情報(FAQ・ナレッジ)」の質と設計に左右されやすい
AI型の強みは、想定外の質問にも対応できる柔軟性。シナリオ型のように「用意した選択肢」に縛られないため、ユーザーが自分の言葉で自由に質問できる仕組みを作れます。
両者の違いを整理しました
観点 | シナリオ型 | AI型 |
入力方法 | 選択式が中心 | 自由入力 |
想定外の質問 | 弱い | 比較的強い |
初期設計の要点 | シナリオ(分岐)作成が必須 | 参照データ(ナレッジ)設計が重要 |
運用改善 | 分岐追加・修正 | ナレッジ整備・評価・改善サイクル |
向いている用途 | 定型案内・手続き誘導 | 幅広い質問対応・自己解決支援 |
得意な体験 | 迷わせない/漏れなく進める | 相談できる/自然に聞ける |
ポイントは一つ。
「どちらが優れているか」ではなく「何を解決したいか」です。
選び方の出発点:「何を自動化したいか」を3つに分解する
機能の多さや新しさだけで選ぶと、導入後にズレます。検討の起点は、次の3点が現実的です。
何を自動化したいのか(業務)
どんな問い合わせが多いのか(傾向)
利用者に何を期待するのか(体験)
迷わせず完了まで案内したい
まずは自己解決させたい
担当者への引き継ぎをスムーズにしたい、など
シナリオ型が向いているケース
問い合わせ内容がほぼ固定されている(定型案内が中心)
案内ルートを厳密にコントロールしたい(手続き・申請・確認)
ユーザーに選択させるほうが分かりやすい
ミスが許されない案内(誤案内が業務影響につながる)
たとえば、「必要事項を漏れなく聞き切りたい」タイプの問い合わせではシナリオ型が効きます。まとめると、正確さ・安全性重視の場面に向いています。
AI型が向いているケース
問い合わせの言い回しがバラバラ(同じ意味でも表現が分かれる)
ユーザーが「何を聞けばよいか分からない」状態で来る
想定外の質問が一定数ある
人が一次対応している内容を広くカバーしたい
例として、製品・サービス内容の質問で「結局どれを選べばいい?」「この場合はどうなる?」のように、前提が人によって変わる相談はAI型がハマりやすいです。こちらは、幅広さ・柔軟さ重視の場面に向いています。
FAQやマニュアルが整理されていなくてもAI型は使える?
よくある誤解として、「FAQやマニュアルが完璧に整っていないとAI型は導入できない」というものです。実際は、情報が分散していたり古い資料が混ざっていても、導入自体は可能です。ただし現実的には、最初から“全部の質問”を狙うより、段階導入が運用に乗りやすいです。要は、「情報が完璧か」より「使う情報を選び、改善できる状態か」が重要です。
よくある失敗パターン
1)「AI型なら何でも答えてくれる」と期待しすぎる
→ 情報がなければ答えられません。
回答できない場合の導線(フォーム/有人対応)を用意すると安全です。
2)「とりあえずシナリオを全部作る」
→ 作成が目的化しやすく、更新が止まりがちです。
上位の問い合わせから着手し、段階的に増やすほうが継続します。
迷ったときのチェックリスト(自社の傾向が一発で見える)
次のうち、当てはまる数が多い方が向きです。
シナリオ型寄り
手続き・申請など、完了までの導線が重要
確認事項が多い(聞き漏れが致命的)
誤案内の影響が大きい
問い合わせが定型で、パターンが少ない
AI型寄り
同じ内容でも言い回しが多様
「何を聞けばいいか分からない」ユーザーが多い
想定外質問が一定数あり、有人一次対応の負荷が高い
ナレッジを改善しながら育てる運用ができる
まとめ:選ぶべきは「技術」ではなく「使い方」
シナリオ型とAI型に優劣はありません
重要なのは、解決したい課題(問い合わせの性質)です
FAQが整っていなくても、AI型は段階導入で始められます
併用(役割分担)は、実務で有効な選択肢です
チャットボット選定は「ツール選び」というより、業務整理と運用設計の延長として考えると失敗しにくくなります。
