導入・運用ノウハウ 2026.07.30

チャットDXとは|チャットボットから始めるDX推進の第一歩

チャットDXとは|チャットボットから始めるDX推進の第一歩

チャットDXとは、問い合わせと社内の情報共有を、チャットを入口に作り替えることです。ひとつの言葉に、社内の連絡をチャットへ寄せる話と、サイトの窓口にチャットボットを置く話が同居していて、先に動かしやすいのは後者のほうになります。

「DX」と「AI導入」も同じ列に並べられがちですが、片方は道具の名前で、もう片方は仕事の形が変わったかどうかの話です。チャットボットは前者にあたるので、置いたこと自体をDXと呼ぶより、記録が残って次の判断に使えているかで見たほうが、社内の話も食い違いにくいのではないでしょうか。

DXを始めたいが、どこから手を付けるかが決まらない

「DXを進めたい」という話は社内で出ている。ただ、具体的に何から始めるかとなると止まってしまう。中小企業の経営者や情報システム担当の方から、こういう相談をよくいただきます。

止まる理由は、たいてい2つに絞られます。効果が見えるまでが長いことと、社内の合意を取るのが大変なことです。基幹システムの入れ替えや業務フローの再設計は、確かに効果が大きい代わりに、半年から1年は成果が見えません。その間、社内では「あれは何のためにやっているのか」という空気が育ちます。

そこで最初の一手として選ばれやすいのが、チャットボットです。派手さはありませんが、始めやすくて、効果が数字で見えて、次の一手の材料が残る。この3つが揃っている取り組みは、意外と多くありません。

チャットDXとは何を指すのか

チャットDXとは、チャットでのやり取りを入口にして、問い合わせ対応や社内の情報のやり取りそのものを作り変えていく取り組みのことです。厳密な定義がある言葉ではなく、社内で使われるときは、だいたい次の2つのどちらかを指しています。

どちらの話か 対象になるやり取り 変わること
連絡手段をチャットに移す 社員どうしの報告・相談。これまでメールと電話で回していたもの 連絡が速くなる。やり取りが後から探せる形で残る
問い合わせの窓口にチャットボットを置く お客さまや社員から届く質問 誰が答えるかが変わる。聞かれた内容が記録として残る

どちらも「チャット」ではありますが、進め方はかなり違います。連絡手段を移すほうは全員の習慣を変えることになるので、合意を取るところから始まります。窓口にチャットボットを置くほうは担当が一人でも動かせて、効いたかどうかも件数で確かめられます。先に着手しやすいのは後者だと思います。社内からの質問に手を取られているなら社内FAQをAIチャットボットで自動化する、お客さまからの問い合わせを整理したいなら問い合わせ対応の効率化が、それぞれ近い話をしています。

チャットボットを置くことは、DXと言えるのか

厳しく見れば、置いた時点ではまだ効率化の段です。同じ質問に人が答えていたものを、機械が代わりに答えるようになっただけ、という見方もできます。

ただ、他の効率化と違う点が1つあります。やり取りが言葉のまま記録に残ることです。どの部署の、どんな質問に、いちばん手を取られているのか。それが毎月たまっていくので、次に何を変えるかを勘で決めなくてよくなります。変えるところまで進んで初めてDXと呼べる、という整理でいくなら、記録が手に入るぶんだけ、次の段へ上がりやすい一手ではあるはずです。

そもそも、どこからがDXなのか

言葉の整理を先にしておきます。経済産業省の定義を要約すると、DXとはデータとデジタル技術を使って、製品やサービス、業務のやり方そのものを変え、競争力につなげることを指します。ポイントは「変える」という部分です。

電子化・効率化・変革という3つの段

紙の申請書をPDFにしてメールで送るようにしただけなら、それは電子化です。同じ仕事を速くしただけなら効率化です。どちらも意味はありますが、DXと呼ぶには足りません。

ただ、いきなり3段目から始めようとするから止まる、という面もあると思います。1段目や2段目を踏まずに3段目に飛べる会社は、そう多くありません。順番に上がることは、遠回りではないはずです。

連絡手段の側と、窓口の側では、段取りが変わる

2つに分けたところで話を止めると、実際に道具を選ぶ段になってまた混ざります。探すときの言葉も、使う人も、置く場所も、効いたかの見方も、この2つでは別のものになります。

連絡手段をチャットに移す 問い合わせの窓口にチャットボットを置く
呼ばれ方 ビジネスチャットと呼ばれる種類。SlackやTeams、Chatworkがこれにあたります チャットボット。あらかじめ道筋を用意する型と、登録した資料をもとに文章で答える型があり、シナリオ型と生成AI型のどちらかで性格が変わります
使うのは誰か 社員全員。一人でも使わない人が残ると、その人宛だけメールと電話が続きます 質問する側と、答えを登録する担当の2者だけ
どこに入れるか 全員のPCとスマートフォン サイトの1ページ、社内ポータル、LINEなど、実際に聞かれている場所
効いたかの見方 速くなった感じは残るが、何がどれだけ減ったかは切り出しにくい 窓口ごとの件数として数えられる

混ざったまま社内に持っていくと、窓口の話まで「全社の合意が要る件」として扱われます。時間がかかるのは連絡手段の側の事情なので、窓口の側までそこに付き合う理由はないはずです。声をかける先も、社内で通す道筋も、分けてしまったほうが早いのではないでしょうか。

どちらから手を付けるか

すでにビジネスチャットが社内で動いているのに、同じ質問は今も人に飛んでくる。この状態なら、残っているのは窓口の側だけです。連絡は速くなったけれど、答える手間のほうは誰かに残ったまま、という段階だと思います。

連絡がまだメールと電話中心なら、順番は現場の困りごとで決まります。「連絡がつかない」で止まっているなら連絡手段の側、「同じことを何度も聞かれる」で止まっているなら窓口の側。両方をいっぺんに動かすと、覚えることが二重になって、どちらも中途半端なところで手が止まりやすくなります。

DXとAI、チャットボットは同じ列に並ばない

「DXとChatGPTは何が違うのか」という聞かれ方をよくしますが、この2つは並べて比べる関係にないのだと思います。DXは、業務のやり方を変えるという目的のほう。AIはそのために使える道具の一種で、ChatGPTのような対話型の生成AIは、さらにその中の1つです。チャットボットは、その道具を「質問に答える窓口」の形にして、実際に聞かれている場所へ置いたものになります。目的、道具、置き方と、指している層が違います。

ChatGPTを契約しただけでは、DXにはなりません。逆に、AIを使わない仕組みでも、業務の回り方が変われば十分DXの側に入るはずです。

最初の一手として選ばれる3つの理由

① 効果が見えるまでが短い

チャットボットは、答えを登録してコードを貼れば動きます。よく届く質問の上位20件を用意できていれば、準備の中心はそこで終わります。基幹システムの入れ替えのように、業務フローを全部書き出してから、という段階がありません。

効果の測り方も単純です。人が直接対応した件数が減っていれば効いています。導入前に1週間ぶんを数えておけば、比べる基準ができます。社内で報告するときも、この数字があるかどうかで通り方が変わります。

② やったことが記録として残る

ここが、他の「最初の一手」との大きな違いだと思います。チャットボットを動かすと、お客さまや社員が実際にどんな言葉で何を聞いたかが全部残ります。

この記録は、次にどの業務へ手を伸ばすかを決める材料になります。「配送状況の問い合わせが多い」と分かれば、配送管理の見直しが次の候補になります。「見積もりの依頼で毎回同じ確認をしている」と分かれば、そこが次です。勘ではなく、実際に来ている質問から順番が決まるのは、進め方としてかなり楽です。

小さく始めて次の業務へ広げていく回し方

どんな言葉で何を聞かれたかは、利用履歴から、打ち込まれたそのままの文章で読み返せます。

③ 現場が反対しにくい

DXの取り組みが止まる理由として、現場の抵抗が挙げられることがあります。ただ、実際に現場が嫌がるのは変化そのものというより、今までのやり方を否定されること仕事が増えることだと思います。

チャットボットは、同じ質問に何度も答えていた作業を代わりに受けるところから始まります。誰かの仕事を取り上げるのではなく、面倒だった部分を引き受ける形なので、反対が出にくい。この性質は、最初の一手としてかなり効きます。

それでも懸念が出るとすれば、「間違ったことを答えるのではないか」という点だと思います。ここは教えていないことは答えない作りになっているかどうかで、話が変わります。何でも推測で答える仕組みだと、現場が心配するのはもっともです。逆に、登録した内容の範囲で答えて、分からないものは人に渡す作りであれば、説明はしやすくなります。

もうひとつ、進めるときに効くのが最初に触ってもらう相手を選ぶことです。いちばん困っている部署の担当者に先に見てもらって、「これなら楽になる」と言ってもらえると、そこから社内に広がります。上から降ろす形にすると、同じ道具でも受け取られ方が変わってきます。

他の候補と並べてみる

最初の一手の候補は、チャットボットだけではありません。よく挙がるものを並べて、性格の違いを見ておきます。どれが優れているという話ではなく、何を先にしたいかで選ぶものだと思います。

候補 効果が見えるまで 向いている状況
チャットボット 短い(数週間) 外からの問い合わせ、社内の同じ質問が多い
電子契約・電子申請 短い 紙と押印の往復が業務を止めている
作業の自動化(RPA) 中くらい 決まった手順の入力作業が大量にある
基幹システムの入れ替え 長い(半年以上) 今の仕組みが限界で、他に手がない

この中でチャットボットが最初に選ばれやすいのは、効果が早いことに加えて次に何をすべきかの材料が残る点だと思います。電子契約も自動化も効果は出ますが、「次にどこへ手を伸ばすか」までは教えてくれません。

逆に、紙と押印で業務が止まっているなら電子契約が先ですし、入力作業に何人も張り付いているなら自動化のほうが効きます。いちばん重い困りごとがどこにあるかを先に見てください。

「入れただけ」で終わらせないために

一方で、チャットボットを入れたこと自体をDXの成果として報告してしまうと、そこで話が終わります。1段目に留まったまま、次に進まないパターンです。

入れただけで終わる進め方 次につながる進め方
設置したことを報告して終わり 人が対応した件数の変化を毎月見る
答えられなかった質問を放置する 答えられなかった質問を次の登録候補にする
記録を誰も見ていない 質問の傾向から次に手を付ける業務を決める
担当者ひとりが抱える 情報を持っている部署ごとに更新を分担する

右の列は、どれも大げさな仕組みではありません。月に一度、記録を見る時間を予定に入れるだけで、たいていは回りはじめます。

逆に、ここを回さないまま放置すると「入れたのに使われていない」という結果になります。その典型はチャットボット導入の失敗事例から考える|なぜ使われないまま終わるのか、根本原因と対策を読み解くに整理してあります。

SHIRITAIでは、どう始めるか

1. 1つの窓口から始める

全社的に展開しようとせず、まず1か所に絞ります。問い合わせがいちばん多い窓口か、いちばん困っている部署です。

SHIRITAIの新規チャットボット作成画面。名前・目的・応答タイプ(AI型/シナリオ型)を選ぶ

複数の窓口を作れるので、社外向けと社内向けを分けたり、部署ごとに分けたりもできます。ただ、最初から分けすぎると管理が増えるので、1つ動かしてから広げるほうが現実的だと思います。

社外向けより先に社内から始める会社も多く、その場合の考え方は社内からの問い合わせに手が取られているにまとめてあります。

2. 動き出したら、記録を見る

実際に来た質問が残ります。ここが次の一手を決める材料になります。

SHIRITAIの利用履歴画面。実際に来た質問(費用はいくら? など)と利用回数180回が時系列で残る

見るときのコツは、答えられた質問より答えられなかった質問を先に見ることです。そこに、社内で情報が整理されていない部分が出てきます。読み方は会話ログとは?チャットボットの記録から「お客さまの本音」を見つける読み方と活かし方にまとめました。

3. 動いている状態を、まとめて見る

窓口が増えてきたら、全体の状況を一覧で確認できます。どこがよく使われていて、どこが手つかずかが分かります。

SHIRITAIの企業ダッシュボード。作成したチャットボットが一覧で並ぶ

社内への報告も、この画面を見せるほうが早いことがあります。文章で説明するより、動いている実物を見てもらったほうが納得されやすいと思います。

こんな質問に、こう答えます

最初の窓口で実際に届く質問と、登録した内容から返る答えの例です。

登録した内容:見積もりの依頼はフォームから。必要な情報は数量・仕様・希望納期の3点

質問

見積もりをお願いしたいんですが、何を伝えればいいですか

回答

お見積もりには、ご希望の数量・仕様・納期の3点をお知らせいただければ、そのまま進められます。仕様がまだ固まっていない場合も、使う場面をお聞かせいただければご提案いたします。お見積もりのご依頼はフォームからお願いしております。

「何を伝えればいいか分からない」は、担当者が毎回説明していた部分です。ここを先に返せると、届く依頼の質が揃います。

答えられなかった例。この記録が、次に登録する内容になる

質問

去年お願いしたのと同じ仕様で作れますか

回答

過去のご注文内容については、こちらでは確認ができません。担当者におつなぎしますので、差し支えなければ会社名とおおよその時期をお聞かせください。

答えられなかったこと自体は問題ではありません。この質問が多いと分かれば、次は過去の注文をどう参照するか、という話になります。

社内向けの窓口として使う例。登録した内容:経費精算の締切は毎月5日、システムは勤怠と同じID

質問

経費の申請っていつまででしたっけ

回答

経費精算の締切は毎月5日です。申請は勤怠システムと同じIDでログインしてお手続きいただけます。5日が土日祝にあたる場合は、その前の営業日までにお願いしています。

社外向けから始めて、社内向けに広げるという順番もあります。締切や手続きの質問は、部署をまたいで同じものが来ます。

困りごと別|SHIRITAIで解決できること10

左が現場でいま起きていること、右がSHIRITAIでどう受けられるかです。

いま起きていること SHIRITAIでどう受けるか
DXを始めたいが、何から手を付けるか決まらない 問い合わせの多い窓口1か所から動かせる
効果が出るまで長くて、社内の熱が冷める 人が対応した件数の変化が、月単位で見える
次にどの業務を見直すか、根拠がない 実際に来た質問の傾向が判断材料になる
現場が新しい仕組みを嫌がる 面倒だった作業を引き受ける形から入る
担当者が兼務で、手が回らない 準備の中心は答えの登録だけ
情報が部署ごとにバラバラで揃わない 登録内容が答えの正本になり、そこに集まる
営業時間外の対応ができていない 時間帯に関係なく一次対応が動く
ベテランしか答えられない質問がある その知識を登録内容として組織に残す
社内向けと社外向けを分けたい 窓口を分けて、それぞれに内容を登録できる
導入したことを社内に説明しづらい 動いている画面と件数の変化をそのまま見せられる

全部を一度にやる必要はありません。まず1か所、いちばん困っている窓口から始めれば足ります。

よくある質問

チャットボットを入れることは、DXと言えますか?

入れただけなら、電子化や効率化の段階だと思います。DXと呼べるかどうかは、そこから業務のやり方を変えたかどうかで決まります。ただ、最初の一歩として踏むぶんには十分な意味があります。順番に上がるほうが、結局は早いことが多いはずです。

社内にITに詳しい人がいなくても始められますか?

始められます。作業の中心は「よく聞かれる質問の答えを用意すること」で、これは業務を分かっている人の仕事です。設置は発行されたコードを貼るだけです。手順はノーコードでチャットボットを作る方法にまとめています。

補助金や助成金の対象になりますか?

制度によって対象が変わりますし、年度ごとに条件も変わります。ここで「対象です」と言い切れる性質のものではないので、お使いになる制度の要件を、その年の公募要領で確認してください。ご検討の段階でしたら、必要な情報はお出しできます。

次の一手は、どうやって決めればいいですか?

記録に残った質問を、多い順に並べてみてください。上位に来ている質問が、いま社内でいちばん人手を使っている業務とつながっています。そこを次の対象にするのが、根拠のある決め方だと思います。

どれくらいで動き出せますか?

答えの用意ができていれば早く進みます。逆に「何をどう答えるか」が社内で決まっていない項目があると、そこで止まります。進め方はチャットボット導入の進め方|準備から公開までの5ステップと、つまずきやすい3つの点にまとめています。

チャットDXとは何ですか?

厳密な定義のある言葉ではありませんが、チャットでのやり取りを入口にして、問い合わせ対応や社内の情報のやり取りを作り変えていくことを指して使われます。社内の連絡手段をチャットに移す話と、問い合わせ窓口にチャットボットを置く話の2つがあり、担当が一人でも始められるのは後者です。

社内チャットとチャットボットは、どちらから始めるとよいですか?

窓口にチャットボットを置くほうが先に動かしやすいと思います。連絡手段の置き換えは、全員が使ってくれて初めて効くので、合意を取る時間が要ります。チャットボットのほうは1つの窓口から始められて、導入前の件数と比べれば効いたかどうかが分かります

まとめ

DXの最初の一手にチャットボットが選ばれるのは、効果が早く見えて、次の材料が残るからだと思います。派手な変革ではありませんが、社内を動かすには「見える成果」が要ります。

順番としては、①いちばん困っている窓口を1つ選ぶ ②導入前の件数を数えておく ③月に一度、記録を見る時間を予定に入れる、です。ここまでやれば、次に手を付ける業務は記録のほうから教えてくれます。実際の動きを確かめたい場合は、無料トライアルで自社のよくある質問を登録してみてください。

SHIRITAI(シリタイ)は、HELATH株式会社が提供するAIチャットボットサービスです。

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