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社内RAGの作り方と、作らないほうがいい場合

社内RAGの作り方と、作らないほうがいい場合

社内の文書から答えを返す仕組み、いわゆる社内RAGを作るとき、最初の分かれ道は自前で作るか、既製のものを使うかです。技術的にはどちらも成立します。判断を分けるのは、何を変えたいのかというところです。

扱う情報が特殊で、既製のものでは要件が満たせない。この条件に当たらないなら、既製のもので始めるほうが早く効果が出ます。理由は、作ること自体より文書を最新に保つ運用のほうが難しいからです。

自前で作る・既製のものを使う

社内RAGを自前で作る場合と既製のものを使う場合の比較

自前が向く場合

  • 扱う情報の性質上、外部に出せない制約がある
  • 既存の社内システムと深くつなぐ必要がある
  • 部署ごとに見せる範囲を細かく分ける要件がある
  • 社内に作れる人と、直し続けられる人がいる

既製が向く場合

  • まず社内問い合わせを減らしたい
  • 読ませる文書が、規程・マニュアル・手順書といった一般的なもの
  • 担当が1人で、開発に人を割けない
  • 効果を見てから広げたい
シリタイ

作ること自体より、文書を最新に保つほうが難しいです。どんなに良い仕組みでも、読ませている規程が去年のものなら、返る答えも去年のものになります。作る前に、この担当と手順を決めておいてください。

自前で作るなら、決めておく4つ

自前で作るなら決めておく4つのこと

1. 文書を最新に保つ担当

作るより難しいのがここです。規程が改定されるたびに、読ませているファイルを入れ替える必要があります。この作業を誰の仕事にするか、いつやるかを決めておかないと、半年で古い答えを返す仕組みになります。

おすすめは、改定の作業手順そのものに「読ませているファイルを差し替える」の1行を入れてしまうことです。担当者の記憶に頼ると必ず抜けます。

2. 答えの出所を出すかどうか

出所を示さない設計にすると、社内では使われません。確かめられない答えは、結局担当者に聞き直されるからです。どの文書のどこを使ったかを返す形にしてください。

3. 誰が何を見られるか

部署ごとに見せる範囲を分けるなら、設計の最初から織り込む必要があります。あとから足すのは、たいてい作り直しに近くなります。

4. 作った人が抜けたあと

いちばん多いつまずきがこれです。1人で作ると、その人が異動した時点で誰も直せなくなります。直せる人を2人にしておくか、外に頼める形にしておいてください。

既製のもので始める場合の進め方

既製のもので社内RAGを始める場合の進め方

いきなり全部を読ませない

共有フォルダを丸ごと入れると、古い版が混ざって何を使ったのか分からなくなります。まずよく聞かれる範囲の10ファイルだけで試してください。準備のしかたは社内規程・マニュアルをAIに読ませる前にやることにまとめています。

実際に来ている質問を30件投げる

想像した質問では判断できません。実際に届いている質問を使ってください。何がよく来ているかは社内問い合わせが多い会社が、まず数えるものの数え方で分かります。

答えられた割合で判断する

30件のうち何件に、確かめられる形で答えられたか。ここが判断の材料です。7割を超えていれば、範囲を広げる値打ちがあります。5割を切るようなら、文書の側を先に整える必要があります。

SHIRITAIで試す場合

ここからは実際の画面です。上で書いたことが、どの画面にあたるかをお見せします。

10ファイルだけ読ませて、答え方を見る

取り込んだ資料と切り出し数がここに出ます。まずこの規模で試します。

資料ファイル。画像解析のチェックは、資料を上げる前に決めます。

資料ファイル。画像解析のチェックは、資料を上げる前に決めます。(画像解析)

Webサイトからも読ませられる

読ませたいページのURLと、仕上がりの指示を渡します。

資料から作成。Webサイトのタブで、読ませたいページのURLと仕上がりの指示を渡します。

資料から作成。Webサイトのタブで、読ませたいページのURLと仕上がりの指示を渡します。(深掘り取込み)

出所を返す設計になっているか

自前で作る場合に決める4つのうち、2つ目にあたります。返す形の実物です。

出典表示。答えの下に、もとにした資料名とページ番号が出ます。

出典表示。答えの下に、もとにした資料名とページ番号が出ます。(AI自動応答)

差し替えは、この画面で完結する

作るより難しい「保つ」の部分です。改定のたびにここを入れ替えます。

ナレッジ管理。AIアシスタントは、この画面の上部のボタンから開きます。

ナレッジ管理。AIアシスタントは、この画面の上部のボタンから開きます。(サイト調査おまかせ)

やりがちな失敗

作ることを目的にする

仕組みが動いても、文書が古ければ古い答えが返ります。作る前に、最新に保つ担当と手順を決めてください。

全社を対象にして始める

いきなり全社に出すと、答えられない質問が大量に来て「使えない」という評価が付きます。1部署、10ファイルから始めるほうが確実です。

出所を返さない

確かめられない答えは、社内では使われません。どの文書のどこかを返す形にしてください。

費用の考え方

自前で作る場合と既製のものを使う場合では、費用の出方が違います。3年で見ると差がはっきりします。

  自前で作る 既製のものを使う
初年度 開発費が大きい。動かす費用も別 初期費用+月額
2年目以降 動かす費用と、直す人の工数 月額のみ
見落とされる費用 直せる人を確保し続ける費用 文書を最新に保つ工数(どちらも同じ)
やめるとき 作ったものは残るが、動かす人が要る 解約で終わる

いちばん見落とされるのが、直せる人を確保し続ける費用です。作った人が異動したあと、外部に頼むといくらかかるか。ここまで含めて比べてください。

試すときに投げる30件の選び方

判断の材料になるかどうかは、投げる質問の選び方で決まります。実際に来ている質問から、次の配分で選んでください。

  • よく来る質問を15件。ここに答えられなければ、そもそも使えません
  • 言い回しが特殊なものを5件。社内語やくだけた聞き方を含めます
  • 複数の文書にまたがるものを5件。就業規則と手当の規程の両方を見ないと答えられない、といった質問です
  • 答えが文書に無いものを5件。ここで「分かりません」と返るかを確かめます

最後の5件が重要です。書いていないことを作って答えないかを見るための質問なので、意図的に含めてください。ここでもっともらしい答えが返ってくる仕組みは、社内では使えません。

よくある質問

社内RAGは自前で作るべきですか、既製のものを使うべきですか?

扱う情報の制約や、既存システムと深くつなぐ要件がなければ、既製のものから始めるほうが早く効果が出ます。理由は、作ること自体より文書を最新に保つ運用のほうが難しいからです。まず既製で10ファイル・30件の試行をして、要件が満たせないと分かった時点で自前を検討する順番が無駄になりません。

自前で作る場合、何から決めればいいですか?

文書を最新に保つ担当と手順、答えの出所を出すかどうか、誰が何を見られるか、そして作った人が抜けたあと誰が直すか。この4つです。特に最後でつまずく例が多く、1人で作った仕組みはその人の異動と同時に止まります。直せる人を2人にしておくか、外に頼める形にしておいてください。

試すとき、どれくらいの文書を読ませればいいですか?

よく聞かれる範囲の10ファイルで十分です。共有フォルダを丸ごと入れると古い版が混ざり、何を使って答えたのか分からなくなります。10ファイルに、実際に届いている質問を30件投げて、確かめられる形で何件答えられたかを数えてください。

どのくらい答えられれば、導入の判断をしてよいですか?

30件のうち7割を超えていれば、範囲を広げる値打ちがあります。5割を切る場合は、文書の側に原因があることが多いです。改定前の版が混ざっている、社内語だけで書かれている、見出しがなく長文になっている。この3つを直してからもう一度試してみてください。

社内RAGを入れると、情報漏えいの心配はありませんか?

読ませる範囲と、使える人の範囲の2つを先に決めることが前提になります。人事評価や個人が特定できる情報は読ませない、窓口は特定のドメインからだけ開ける、といった形です。あわせて、使うサービスが読ませた情報をどう扱うか(学習に使われないか、保存先はどこか)も、契約前に確認しておいてください。

まとめ:作る前に、保つ体制を決める

社内RAGは、自前で作るか既製のものを使うかで進め方が変わります。特殊な要件がなければ、既製のもので10ファイル・30件から試すほうが早く判断できます。自前で作る場合は、文書を最新に保つ担当・出所を出すか・見せる範囲・作った人が抜けたあと、の4つを先に決めてください。

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