活用方法 2026.07.25

カスタマーサポートのAIチャットボット|任せる範囲の決め方と、品質のそろえ方

カスタマーサポートのAIチャットボット|任せる範囲の決め方と、品質のそろえ方

カスタマーサポートでチャットボットに任せる範囲は、答えの出どころが社内で文書になっているかで分かれます。規約やマニュアルに書いてあることは、誰が答えても中身が変わりません。まだ書き出せていないものは、任せる前に文書にする作業のほうが先だと思います。

電話とメールとチャットで別々に届いていて手が回らない、というときは入り口ごとの違いのところから。答える人によって内容がぶれるのが気になるなら、ばらつきを止める節へ。作り方だけ知りたい場合は、答えの登録から担当者への引き継ぎまでの4項目を先にご覧ください。

同じ質問に、毎日答えている

「営業時間は何時までですか」「送料はいくらかかりますか」「返品はいつまで受け付けてもらえますか」。

カスタマーサポートの現場にいると、こうした質問が電話でもメールでもチャットでも、毎日のように届きます。一件ずつは1分、2分で終わる話です。ただ、電話が鳴れば書きかけのメールは止まりますし、月曜の朝に土日ぶんの問い合わせが積み上がっているのを見ると、その日の予定はだいたい崩れます。

問い合わせの量は増えるのに、人はそう簡単に増やせない。この矛盾を気合いで埋めようとすると、担当者が先に消耗します。順番としては、「何を人が受けるべきか」を決め直すほうが先だと思います。

入り口ごとに、起きていることが違う

ひとくちに問い合わせといっても、届く経路によって現場で起きる問題は違います。

問い合わせは3つの入り口から届く

電話はその場で解決できる代わりに、受けた人の作業が完全に止まります。しかも何を聞かれたかが記録に残らないので、翌月に同じ質問が来ても「よくある質問」として積み上がりません。メールは記録が残りますが、返信までに時間がかかり、担当者によって文面の丁寧さや情報量が変わります。

電話の比率が高い窓口では、まず入電そのものを減らす設計から入ることになります。その考え方はコールセンターのチャットボット活用ガイド:入電数を減らす設計と、生成AI型が選ばれる理由で詳しく扱っています。

どれだけ取られているか、自社の数字で数える

「問い合わせが多い」という感覚だけでは、対策に予算を付ける説明ができません。数えると話が具体的になります。

やり方は単純で、1週間だけ、届いた問い合わせを経路ごとに正の字で数えます。そのうえで「1件あたり何分かかっているか」を掛けます。1日20件 × 5分で100分。月20営業日なら約33時間です。実際には、中断された作業に戻るまでの時間も乗るので、体感はもっと長いはずです。

次に、数えた問い合わせを2つに仕分けます。「答えがどこかに書いてあるもの」と「その人の事情を聞かないと答えられないもの」です。前者の割合が、自動化を検討できる上限になります。この仕分けをせずに「半分は減るらしい」といった一般論で試算すると、後で数字が合わなくなります。

費用と効果の並べ方はチャットボット導入の費用対効果を正しく試算する:ROI計算と中小企業向け実例にまとめてあります。

何を任せて、何を人が受けるか

導入がうまくいかない窓口には、共通点があります。線引きを決めないまま、とりあえず全部に答えさせようとしていることです。答えられない質問にも無理に答えようとすれば、間違った案内が出ます。一度それが起きると、お客さまはもうその窓口を使いません。

AIに任せられるもの 人が受けたほうがよいもの
営業時間・所在地・アクセス クレーム、お叱りの一次受け
送料・支払い方法・手数料 例外を認めるかどうかの判断
返品・交換の条件と手順 金額が動く相談(値引き・返金)
商品の仕様、サイズ、在庫の考え方 個別の事情がある依頼
手続きの流れ、必要な書類 言いにくい相談、こみ入った経緯のある話

右側の列は、自動化しないと決めておく範囲です。ここを無理に自動で完結させると、いちばん大事な話を取りこぼします。大切なのは、AIが答えられないと判断したときに、迷わず人へ渡す道が用意されていることです。

一次対応から担当者へ渡すまでの流れ

渡し方の設計そのものについてはAIチャットボットの有人切替(ハイブリッド対応)をうまく設計する方法:「いつ渡すか」で決まる顧客満足度で詳しく書いています。

SHIRITAIでは、どう作るか

ここからは、実際の画面で「何をどう登録すると、どう答えるようになるのか」を見ていきます。

1. 答えの出どころを登録する

最初にやるのは、答えを教えることです。よく届く質問と、その答えを登録します。マニュアルやサイトの文章をそのまま入れるより、お客さまに返す言葉に直してから登録するほうが、返ってくる答えは読みやすくなります。

SHIRITAIのナレッジ管理画面。返品・交換/送料/営業時間などの質問と回答が一覧で並ぶ

登録した内容は分類しておくと、後の見直しが楽になります。「料金・配送」「商品について」のように分けておけば、どの分類の質問が多いかも見えてきます。

SHIRITAIのカテゴリー管理画面。ナレッジを「料金・配送」「商品について」などに分類する

いきなり全部を登録する必要はありません。数えた問い合わせのうち、件数の多い上位20件から始めれば、効果は出はじめます。

2. 教えた内容だけで答えさせる

SHIRITAIは、登録した内容をもとに答えます。教えていないことは、推測で答えません。カスタマーサポートで使う以上、ここは譲れないところだと思います。知らないことをそれらしく答える窓口は、対応を減らすどころか、後始末を増やします。

SHIRITAIのチャット画面。自己紹介ボットが、教えた情報だけをもとに質問へ回答している例

この仕組みそのものに関心があれば、RAGチャットボットとは?非エンジニアでもわかる仕組みと、中小企業での現実的な活用法で、専門知識なしで読める形に整理しています。

3. 答えられないときは、担当者へ渡す

個別の事情が絡む相談は、担当者が引き継ぎます。引き継ぐときに大事なのは、お客さまに同じ説明をもう一度させないことです。AIとのやり取りが見えた状態で担当者が入るので、経緯を最初から聞き直す必要がありません。

SHIRITAIの有人対応の詳細画面。AIとの会話の続きから担当者が引き継ぎ、送信前の発言を確認・修正できる

送信する前に文面を確認できるので、担当者が変わっても案内の粒度がぶれにくくなります。

4. 実際に来た質問を見て、直す

公開したら終わり、にはなりません。答えられなかった質問が、次に登録すべき内容そのものです。

SHIRITAIの利用履歴画面。実際に来た質問(費用はいくら? など)と利用回数180回が時系列で残る

ここを月に一度見るだけで、窓口は目に見えて賢くなります。読み方の勘所は会話ログとは?チャットボットの記録から「お客さまの本音」を見つける読み方と活かし方にまとめました。

担当者によって答えが変わるのを、どう止めるか

対応件数と同じくらい相談が多いのが、品質のばらつきです。同じことを聞いたのに、電話で聞いたときとメールで聞いたときで答えが違う。この状態はお客さまの不信につながりますし、後から「どちらが正しいのか」を確認する手間も発生します。

ばらつきは、性格ではなく出どころの問題

答えが揃わない窓口を見ていくと、担当者の丁寧さの差というより、手元にある情報が人によって違うことが原因になっている場合がほとんどです。紙のマニュアル、個人のメモ帳、先輩から口頭で教わった例外。出どころが分かれていれば、答えが分かれるのは当然です。

答えの出どころが分かれている状態と、1つにそろえた状態

ですから、対策は「もっと丁寧に」ではなく、答えの正本を1つにすることになります。登録した内容が正本になっていれば、AIが返す答えも、担当者が見る答えも同じものになります。この考え方をもう一段踏み込んで扱っているのがカスタマーサポートの属人化を解消する方法です。

言い回しの揺れは、直さなくてよい

ここで一点だけ、勘違いされやすいところがあります。そろえるべきなのは案内の中身であって、言い回しではありません。「8日以内です」と「到着から8日までにご連絡ください」は、どちらでも構いません。文面まで一字一句そろえようとすると、更新のたびに手が止まります。

実務では、次の3つが揃っていれば十分だと思います。

  • 条件(何日以内か、いくら以上か、どの範囲か)
  • 例外(どんなときに扱いが変わるか)
  • 次にしてもらうこと(どこから手続きするか、何を用意するか)

とくに抜けやすいのが例外です。「基本は購入者負担、ただし不良品は当社負担」のように、例外まで含めて登録しておくと、条件を組み合わせて答えられるようになります。

使ってもらえる場所に置く

どれだけ答えを整えても、置き場所が悪ければ使われません。よくあるのが、「よくある質問」ページの下のほうにだけ置いてしまう形です。そこまでたどり着ける人は、たいてい自力で答えを見つけています。

置き場所は、発行されたコードを貼るだけで決められます。料金ページ、商品ページ、問い合わせフォームの手前など、お客さまが迷っている場所に置くのが基本です。

SHIRITAIの公開情報・コード画面。数行の埋め込みコードをコピーして自社サイトに貼る

問い合わせフォームの手前に置くと、フォームを開く前に解決する質問が出てきます。フォームとの使い分けはFAQページとチャットボットの使い分け|「よくある質問」が読まれない理由もあわせてご覧ください。

こんな質問に、こう答えます

実際に届く質問と、登録した内容から返る答えの例です。

登録した内容:返品は商品到着後8日以内、未開封のもの。送料は購入者負担。ただし不良品は当社負担

質問

先週買ったやつ、まだ開けてないんですけど返せますか

回答

未開封であれば、商品到着後8日以内までご返品を承っています。先週のご購入とのことですので、到着日から8日以内でしたら対象になります。返送の送料はお客さまのご負担となりますが、商品に不良があった場合は当社が負担いたします。到着日がご不明でしたら、ご注文番号をお知らせください。

「返品規約」という言い方をされなくても、意味で拾って答えます。条件と例外を一度に返せると、追加の問い合わせが来ません。

登録した内容:送料は全国一律600円、税込5,000円以上で無料。北海道・沖縄は1,200円

質問

沖縄なんですけど、いくらまで買えば送料タダになりますか

回答

沖縄への配送は送料1,200円をいただいております。税込5,000円以上のご購入で送料無料となりますので、あと少しで無料になる場合はまとめてのご注文もご検討ください。

地域ごとの例外は聞かれ方が読めません。表で登録しておくと、条件を組み合わせて答えられます。

金額が動く相談は、担当者へ渡す

質問

届いた商品が思っていたのと違ったので、返金してほしいです

回答

ご期待に沿えず申し訳ございません。返金のご相談は、商品の状態やご注文の内容を確認したうえで対応しております。担当者におつなぎしますので、差し支えなければご注文番号と、気になった点をお聞かせください。

ここを自動で完結させてはいけません。謝ってから人に渡す、という一次受けまでが自動化の範囲です。

困りごと別|SHIRITAIで解決できること10

左が現場でいま起きていること、右がSHIRITAIでどう受けられるかです。

いま起きていること SHIRITAIでどう受けるか
同じ質問に毎日答えている よく届く質問を登録しておけば、AIが一次対応する
電話が鳴るたびに作業が止まる サイト上で答えが得られるようにして、電話の前に済ませてもらう
夜間・休日の問い合わせが翌営業日まで止まる 時間帯に関係なく一次対応が動く
担当者によって答えが違う 登録した内容が答えの正本になり、誰が対応しても同じ案内になる
ベテランしか答えられない質問がある その知識を登録内容として組織に残す
新しい担当者の立ち上げに時間がかかる 登録内容が手引きの役割を兼ねる
お客さまに同じ説明を何度もさせている やり取りが見えた状態で担当者が引き継ぐ
何を聞かれているか把握できていない 利用履歴に実際の質問が残り、改善の材料になる
問い合わせフォームまで進んでもらえない 会話の途中から問い合わせにつなげる
設置に手が回らない 発行されたコードをサイトに貼るだけで置ける

全部を一度にやる必要はありません。上から2つか3つ、いま困っている順に手を付ければ足ります。

よくある質問

問い合わせは、どれくらい減りますか?

届いている質問のうち「答えがどこかに書いてあるもの」がどれだけあるかで決まります。まず1週間ぶんを数えて、定型と個別に仕分けてみてください。定型が7割あるなら、そこが自動化できる上限です。減らすこと自体より、空いた時間を個別の相談に回せることのほうが、現場では効いてくるはずです。

間違った案内をしてしまわないか心配です。

SHIRITAIは登録した内容をもとに答えるので、教えていないことを推測では答えません。心配なのはむしろ、登録内容が古いまま残っている場合です。料金や条件を変えたときに登録内容も直す、という手順を運用に一行入れておくと防げます。

クレーム対応もAIに任せられますか?

おすすめしません。お叱りの一次受けとして「状況を伺って担当者につなぐ」ところまでは任せられますが、判断や謝罪の中身を自動で完結させると、かえって話がこじれます。人に渡す線をあらかじめ決めておいてください。

導入までに、どれくらいかかりますか?

準備の中心は、答えを登録する作業です。よく届く質問の上位20件ほどを用意できていれば、そこから先は早く進みます。逆に、社内で「何をどう答えるか」が決まっていない項目があると、そこで止まります。進め方はチャットボット導入の進め方|準備から公開までの5ステップと、つまずきやすい3つの点にまとめています。

費用はどれくらいですか?

SHIRITAIは月額9,800円から用意しています。プランごとの違いは料金ページをご覧ください。判断に迷う場合は、費用の話の前に「どの質問を任せるか」を決めておくと、必要な範囲が見えやすくなります。

まとめ

カスタマーサポートにAIチャットボットを入れる作業は、道具を増やすことではなく、受け持ちを決め直すことだと考えています。答えが決まっている質問はAIが受け、事情を聞くべき相談は人が受ける。その線を先に引いておけば、導入してから迷う場面はかなり減るはずです。

手順としては、①1週間ぶんの問い合わせを数えて仕分ける ②上位20件の答えを登録する ③人に渡す線を決める、の順です。実際の画面で試してみたい場合は、無料トライアルで自社の質問を登録して、返ってくる答えを見てみてください。

SHIRITAI(シリタイ)は、HELATH株式会社が提供するAIチャットボットサービスです。

AIチャットボット、始めてみませんか?

記事に出てきたことを、自社のサイトで試せます。2週間、費用はかかりません。

無料で相談する