活用方法 2026.06.08

AIチャットボットの有人切替(ハイブリッド対応)をうまく設計する方法:「いつ渡すか」で決まる顧客満足度

AIチャットボットの有人切替(ハイブリッド対応)をうまく設計する方法:「いつ渡すか」で決まる顧客満足度

有人切替(ハイブリッド対応)とは、答えている途中の会話を、担当者がそのまま引き継ぐ仕組みのことです。やり取りを打ち切ってフォームへ送り直すのではなく、それまでの会話履歴を持ったまま人が入る。お客さまが同じ話を最初から説明し直さずに済みます。入り口は、お客さま側から呼ばれる場合と、こちらで決めた条件で渡す場合の二つになります。

AIチャットボットだけでは解決できない問い合わせがある

AIチャットボットの得意領域は、繰り返し発生する定型的な問い合わせです。「営業時間は何時か」「返品ポリシーを教えてほしい」「最小ロットはいくつか」といった質問には、24時間・即座に・均一な品質で回答できます。

SHIRITAIの調査では、企業に届く問い合わせの約50%が定型的な内容とされています。チャットボットを適切に設計すれば半数の問い合わせをAIで処理できる計算ですが、残り半数には人間の判断が必要です。

AIが苦手なのは次のパターンです。

パターン 内容 AIが不向きな理由
感情的なクレーム 「何度言えばわかるのか」「もう解約する」 淡々とFAQを返すと火に油を注ぐ
複数条件の個別相談 子どもが3人、親の介護、予算◯円など 事前データだけでは的外れな回答になる
重要事項の確認 契約内容、返金、法的問題 誤情報がトラブルに発展する

これらをAIに全任せする設計にすると、顧客満足度を下げる原因になります。

有人切替(ハイブリッド対応)とは何か

有人切替(ハイブリッド対応)とは、チャットボットの自動応答と人間のオペレーター対応を組み合わせる仕組みです。通常の流れは以下のとおりです。

  1. ユーザーがチャットボットに質問を入力する
  2. AIが自動で回答を返す(定型的な問い合わせはここで完結)
  3. AIが答えられない、あるいは答えるべきでない場合、有人対応に切り替える
  4. オペレーターが引き継いで対応する

無人対応に比べると人件費やオペレーター配置が必要になりますが、対応できる問い合わせの幅が広がり、顧客の離脱を防げます。「AIがすべて」でも「有人がすべて」でもなく、それぞれの得意領域を組み合わせる発想が重要です。

2つの型の違いはシナリオ型と生成AI型のチャットボットを比較する|自社に合うほうを見極めるための5つの軸で詳しく解説しています。

有人に切り替えるべき3つのシーン

AIに任せる質問と、人が出る相談の線引き

感情的・クレーム系の問い合わせ

問い合わせ内容に不満や怒りが感じられる場合は、即座に有人へ切り替えます。「納得できない」「二度と使わない」「返金してほしい」などのキーワードを検知したタイミングで自動的にオペレーターへ切り替える設定も有効です。

近年はカスタマーハラスメント(カスハラ)対策としてもハイブリッド対応が注目されています。AIが一次対応を担うことで、感情的に高まった顧客との直接接触を減らし、従業員の精神的負担を軽減できます。重篤なカスハラ案件では、引き継ぎ時に上長への報告フローを組み込む設計も考えられます。くわしい考え方はカスハラ対策にAIチャットボットが効く理由で整理しています。

複雑な個別相談・見積もり対応

「一般的な回答ではなく、自分の状況に合わせた答えが欲しい」というニーズには、AIの定型回答が通用しません。製造業の見積もり対応では、製品種類・数量・納期・仕様変更の有無など複数の条件が絡みます。「詳細はお問い合わせフォームからどうぞ」と案内するだけでは機会損失です。担当者に直接相談する導線を用意しておくと、そのまま成約につながるケースが増えます。

契約・重要情報の確認

「このプランに申し込んでよいか確認したい」「解約にはどの書類が必要か」。AIが不正確な回答をすると、契約トラブルや法的問題に発展するリスクがあります。重要度の高い問い合わせカテゴリを事前に設定し、該当内容は人間が対応する設計にすることでリスクを最小化できます。

シリタイ

有人に切り替える基準を「感情・複雑性・重要度」の3軸で整理しておくと、判断のブレが減って運用が安定します。

有人切替設計の3つのポイント

AIから担当者へ会話をつなぐ流れ

有人切替を機能させるには、切り替える・切り替えないの判断だけでなく、どのように切り替えるかのプロセス設計が重要です。

ユーザー自身が切り替えられる「担当者に聞く」ボタン

最もシンプルかつ重要な設計は、ユーザーが自分のタイミングで有人対応を選べるボタンを常時表示しておくことです。AIの回答では解決しないと感じたユーザーがすぐに担当者への連絡手段を見つけられる状態にしておくと、離脱や不満を防げます。

注意点は、このボタンが見つけにくい場所に隠れていないことです。「AIの回答後にしか表示されない」「何度もやり取りしてから出てくる」という設計だと、ユーザーがストレスを感じて会話を途中でやめてしまいます。

AIが自動でエスカレーションする条件設計

会話内容に応じてAIが自動で有人対応への切り替えを促す設計も有効です。

  • 同じ質問を3回以上繰り返している(AIが解決できていないサイン)
  • 感情的なキーワードが含まれている
  • 「契約」「解約」「返金」などの重要キーワードが出てきた
  • 一定の会話ターン数を超えた

これらの条件に合致した場合、AIが「担当者がサポートできます」と案内する流れを自動化することで、ユーザーの不満が蓄積する前に手を打てます。

会話履歴をオペレーターに引き継ぐ

有人切替で見落とされがちなのが、チャットボットとの会話履歴の引き継ぎです。オペレーターに切り替わった際に「最初からお話しください」と同じ説明を繰り返す状況になると、それ自体が不満の種になります。「チャットボットですでに◯◯と◯◯を確認しています」という状態で引き継げると、スムーズな対応につながります。ツール選定の際は、会話履歴がオペレーター側で確認できる機能があるかを必ずチェックしてください。

「24時間対応×有人切替」の現実的な落としどころ

有人切替を導入する場合、避けて通れない課題があります。オペレーターは24時間対応できないという点です。深夜や休日に問い合わせが来ても担当者がいなければ有人対応はできません。だからといって有人切替をあきらめる必要はありません。

営業時間内と営業時間外で設計を分ける

現実的な運用は時間帯で設計を変えることです。

時間帯 一次対応 二次対応
営業時間内 AIが応答 解決しない場合は有人へ切替
営業時間外 AIが応答 「翌◯時以降に担当者よりご連絡します」と案内

深夜でも一次対応のみAIで顧客を待たせず受け付け、翌日の有人対応でフォローできます。「問い合わせをしたのに返事が来ない」という不満は、待っているのに何も知らされない状態から生じます。「明日◯時以降に担当者からご連絡します」とAIが案内するだけで、顧客の不安は軽減されます。

中小企業でハイブリッド対応を機能させる

中小企業の場合、専任のコールセンタースタッフを配置するのは難しく、CS担当が営業やバックオフィスを兼務しているケースも珍しくありません。こうした環境でハイブリッド対応を機能させるコツは、有人対応に回す問い合わせの数を最小化することです。AIが対応できる定型問い合わせの精度を上げ、有人に回るのは「どうしても人が必要な案件だけ」にする。この設計ができれば、兼務スタッフでも対応が成立します。

同じ質問が特定の人に集まって対応の質がばらつく状態をほどく考え方はカスタマーサポートの属人化を解消する方法に、入電そのものを軽くする設計はコールセンターのチャットボット活用ガイド:入電数を減らす設計と、生成AI型が選ばれる理由にまとめています。

SHIRITAIの調査では、適切に設計されたAIチャットボットは問い合わせの50%前後をAI完結で処理できるとされています。有人に回る問い合わせを現状の半数程度に減らすことが現実的に可能です。

費用対効果の試算はチャットボット導入の費用対効果を正しく試算する:ROI計算と中小企業向け実例で解説しています。

SHIRITAIではこうなる:会話の途中から、担当者が引き継ぐ

AIチャットボットによっては、有人切替を別のオプションとして後から足すものもあります。SHIRITAIは、スタンダード以上のプランで有人対応(ハイブリッド対応)を用意しています。ここからは、実際の画面で受け渡しの流れを見てみます。

完結率から見える「AIが処理できる比率」

SHIRITAIの導入事例では、業種や用途によってAI完結率が異なります。

業種 月間利用回数 AI完結率
関東エリアの総合病院 300〜400回 約47.5%
インフルエンサーマッチングサービス 800〜1,000回 約60%
製造業(今治タオルメーカー) 約50回 約30%(見積もり案件は担当者誘導)

製造業のように個別対応が多い業種は完結率が下がります。定型的な問い合わせが多い医療・サービス業では、半数以上がAIで完結しています。

完結率が低い=チャットボットが使えない、ではありません。製造業の事例では、見積もり依頼が多いものの、チャットボット経由で所定フォームへ誘導する設計で機能しています。有人切替を担当者問い合わせフォームへの誘導として使えば、営業担当者が後で対応できる体制が整います。

お客様が切り替える入口を、ふさがない

前半で挙げた「お客様が自分のタイミングで切り替えられること」を、SHIRITAIは複数の入口で担保しています。チャット下部の「有人対応」タブは常時表示。AIの回答の下には「担当者に聞く」。会話の終わりにも「担当者に相談する」。選択肢で進むシナリオ型でも、選択肢と並んで「担当者に聞く」が出ます。

お客様側のチャット画面。AIの回答の下の「担当者に聞く」から人につながる

「AIの回答後にしか出てこない」「何度もやり取りしてからでないと出てこない」という状態を作らない設計です。担当者が席を外す時間帯は待機のスイッチを切れば、ボタンではなくお問い合わせフォームへ誘導が切り替わります。

会話履歴はそのまま引き継がれる

有人切替でいちばん不満が出るのは、切り替わった先で最初から説明させられることです。SHIRITAIでは、担当者の画面にそれまでのAIとのやり取りが表示されます。何を聞かれていて、AIがどこまで答えたかを読んでから一言目を書けるので、仕切り直しが起きません。自分が送った一言は、あとから「修正」で直せます。直すとお客様側にも「編集済み」と伝わるので、送ったあとで言葉を整えることもできます(お客様の発言は書き換えられません)。

SHIRITAIの有人対応の詳細画面。AIとの会話の続きから担当者が引き継ぎ、送信前の発言を確認・修正できる

担当者から会話に入ることもできる

お客様が「担当者に聞く」を押すのを待つだけではありません。管理画面には、いまAIとやり取りしている直近の会話が一覧で出ています。担当者から参加すると、お客様の画面に「担当者が参加しました」と表示され、AIの応答は止まって担当者の返信が直接届きます。退席すればAI(シナリオ型ではご案内の続き)に戻ります。

  • 見積もり相談が複雑になってきた会話に、営業担当が途中から入って条件を詰める
  • 解約や返金の話題が出た会話に、責任者が入って正確に案内する
  • 同じ質問を繰り返しているお客様に、担当者から先回りして声をかける

前半で整理した「AIが自動でエスカレーションする条件設計」を、人の判断で補える仕組みです。

取りこぼさないための通知

リクエストが届くと、管理画面のどのページを開いていても通知音が鳴り、未対応の件数が表示されます。一覧では未対応の会話だけ背景色が変わるので、まだ誰も出ていない相談がひと目で分かります。タブが裏にあるときはデスクトップ通知でも届きます。メールの宛先は担当者を決めて指定できるため、管理者全員の受信箱が鳴り続けることはありません。兼務のCS担当が一人で回す体制でも、誰が出るのかを決めたまま運用できます。

SHIRITAIの有人対応の一覧。未対応の会話は色が変わり、通知で気づける

終わり方まで決めておく

有人対応は、始め方より終わり方で印象が決まります。SHIRITAIでは開始・参加・退席・終了のすべてがお客様の画面にも表示されます。やり取りが3分ほど止まると自動的に終了し、終了後はAI(シナリオ型ではご案内の続き)に戻ります。もう一度相談したくなったときは、メッセージを送れば再びつながります。

返事が来ないまま放置されているのか、終わったのかが分からない。この状態を作らないための設計です。

シリタイ

完結率の数字だけを追うと判断を誤ります。「有人へ渡す導線が成立しているか」「終わったことが相手に伝わるか」までセットで評価するのが運用設計の基本です。

困りごと別|SHIRITAIで解決できること10

AIと人の受け持ちで迷うところを並べます。左がいま起きていること、右がSHIRITAIでどう受けられるかです。

いま起きていること SHIRITAIでどう受けるか
こみ入った相談まで自動で返してしまう 人が受ける条件をあらかじめ設定できる
お客さまに同じ説明を何度もさせている それまでのやり取りが見えた状態で担当者が入る
いつ人が出るべきか決まっていない 答えられないときの引き継ぎ先を先に決めておける
お客さま側から人を呼べない 「担当者に聞く」導線をお客さま側に置ける
引き継いだあとの担当者が状況を掴めない 会話の履歴を見ながら対応を始められる
担当者が誤った内容を送ってしまう 送信前に文面を確認できる
誰が対応中か分からない 有人対応の一覧で進行中の会話を確認できる
苦情の一次受けで担当者が消耗する 受け止めて人へ渡すところまでを任せられる
担当者によって引き継ぎの質が違う 登録した内容が答えの正本になり、案内の粒度が揃う
有人対応の設定を後から変えたい 設定画面から条件を変更できる

全部を一度に決める必要はありません。まず「人が受ける範囲」を先に引いておけば、残りは運用しながら調整できます。

よくある質問

どのタイミングで人に渡すのが正解ですか?

決まった正解はありませんが、金額が動く相談・例外を認めるかの判断・これまでの経緯がある話の3つは人が受けたほうがよいと思います。この3つが混ざったら渡す、という線を先に引いておくと迷いません。

最初は広めに人が受ける設定にすべきですか?

そのほうが安全です。答えられない質問を放置した状態が先に世に出ると、そこで評価が固まります。広めに始めて、記録を見ながら任せる範囲を広げる順番をおすすめします。

担当者が不在のときはどうなりますか?

受けられない時間帯があること自体は問題ありません。大事なのは、その場で放置されないことです。用件を預かって折り返す形にしておけば、お客さまは待てます。

有人対応を入れると、人の手間は増えませんか?

渡ってくる件数は減ります。手前で片づく質問が自動で終わるためです。渡ってくるのは、もともと人が対応すべきだったものだけになります。

引き継ぎのときにお客さまへ何と伝えればいいですか?

「担当者におつなぎします」の一言と、これまでの内容は引き継いでいることを伝えるだけで十分です。最初から説明し直させないことが、この設計のいちばんの目的です。

まとめ:AIと人の分担を設計することが導入成功のカギ

チャットボットの有人切替は、「AIをどこまで信頼するか」ではなく「AIと人間がそれぞれどこを担当するか」を設計することです。本記事のポイントを整理します。

  • AIが苦手な問い合わせ(感情的なクレーム・複雑な個別相談・重要な契約確認)は人間が担当する
  • 有人切替には「ユーザーが選べるボタン」「AIが自動エスカレーション」「会話履歴の引き継ぎ」の3つの設計が重要
  • 営業時間内外で設計を分けることで、24時間対応と有人切替を両立できる
  • 中小企業はAIで処理できる定型問い合わせの精度を上げ、有人対応の負担を最小化することが現実的

チャットボット導入の失敗事例の多くは、シナリオ設計や有人切替の設計を省略したことに起因します。有人切替の設計まで含めて考えることが、チャットボットを本当に使えるツールにする近道です。

ありがちなつまずきはチャットボット導入の失敗事例から考える|なぜ使われないまま終わるのか、根本原因と対策を読み解くにまとめています。

有人対応の画面まで実際に触ってみたい方は、SHIRITAIの無料トライアルで確かめてみてください。月額9,800円から始められます。

SHIRITAI(シリタイ)は、HELATH株式会社が提供するAIチャットボットサービスです。

利用シーン

採用問い合わせの取りこぼしを防ぐ|応募前質問・書類受付をAIで自動化

新卒・中途・アルバイト採用サイトでチャットボットを活用し、年収・選考フロー・働き方の質問に24時間応答。応募率と内定承諾率を高めながら人事工数を削減する設計を解説します。

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