基礎知識 2026.07.26

問い合わせフォームとチャットボットの違い|フォームで足りる場合と、足りない場合

問い合わせフォームとチャットボットの違い|フォームで足りる場合と、足りない場合

問い合わせフォームとチャットボットの違いは、答えが返るまでの時間と、記録に残る範囲の広さにあります。フォームは、聞きたいことがはっきりしていて、書く手間を惜しまない人向き。その場で一言だけ確かめたい人はチャットのほうが動きやすく、送信まで至らなかった質問も履歴に残ります。

読む順は、困っているほうからで構いません。届く問い合わせを捌ききれないなら、5つの観点で並べた比較のところから。件数そのものが伸びないほうが気になるなら、送られなかった問い合わせが見えるようになる、という話が先だと思います。

「フォームで足りている」と感じているとき、見えていないもの

問い合わせフォームがあって、そこから問い合わせも届いている。これといって困っていない。そう感じている会社は多いと思います。

ただ、フォームで測れるのは「送信された数」だけです。フォームを開いたけれど書かずに閉じた人、そもそも問い合わせるほどでもないと判断した人は、どこにも記録が残りません。困っていないのではなく、困っている人が見えていない、という状態はあり得ます。

送ってから返事が来るまでに、何が起きているか

フォームの流れを分解すると、お客さまが送信する、担当者がメールを見る、返信を書く、送る、という4段階です。営業時間内でも数時間、時間外なら翌営業日以降になります。

問い合わせフォームとチャットで、答えが返るまでの時間の違い

この待ち時間のあいだ、お客さまは待っているだけではありません。たいていは他社のサイトも見ています。先に答えが見つかったほうで話が進むので、返信が届いたころには決まっている、ということが起こります。

どれくらい取りこぼしているかは、自社の数字で見当がつきます。フォームページの表示回数と、実際の送信数を並べてみてください。差が大きいほど、「開いたが送らなかった人」がいます。その人たちが何を知りたかったのかは、フォームでは分かりません。

フォームが構造的に拾えない人

もうひとつの限界は、フォームが「何を聞きたいかが自分で整理できている人」にしか向いていないことです。

「お問い合わせ内容」の自由記述欄に文章を書けるのは、質問が固まっている人だけです。実際には「なんとなく気になっているが、どう聞けばいいか分からない」段階の人のほうが多く、その人たちは書けないまま閉じます。名前とメールアドレスの入力欄を見て、営業の連絡が来ることを警戒して離れる人もいます。

これはフォームの作りが悪いという話ではなく、フォームという形式が持っている性質です。入力欄を減らしても、この層は拾いきれません。

フォームのほうが向いている問い合わせもある

ここは正直に書いておきたいところです。チャットボットがあればフォームは要らない、という話ではありません。役割が違います。

フォームで受けたほうがよいもの チャットで受けたほうがよいもの
見積もり依頼、詳しい条件を整理して伝えたいもの 料金、対応範囲、納期など答えの決まっている質問
契約の変更、解約など記録を残したいやり取り 夜間・休日に思い立った質問
図面や写真など、ファイルを添えて送るもの 「まだ問い合わせるほどではない」段階の疑問
個人情報を含む申し込み手続き 比較検討中に、その場で確かめたいこと

左の列を無理にチャットへ寄せると、かえって使いにくくなります。フォームは残したまま、フォームでは拾えなかった問い合わせをチャットで受ける、という足し方が現実的だと思います。

5つの観点で並べてみる

役割が違うと言われても、具体的に何がどう違うのかは分かりにくいと思います。実務で効いてくる5点だけ並べます。

観点 問い合わせフォーム チャットボット
答えが返るまで 数時間から翌営業日以降 答えの決まっているものはその場
聞くときの心理的な重さ 名前と連絡先を書く必要があり、重い 連絡先なしで聞けるので軽い
受ける側の手間 1件ごとに読んで返信を書く 定型のものは自動で返る
営業時間外 受け取れるが、答えは翌営業日 一次対応は時間帯に関係なく動く
残るもの 送信された文章だけ どんな言葉で何を聞かれたかが残る

この中でいちばん効くのは、2行目の心理的な重さだと思います。速さや手間は「いま来ている問い合わせ」を速く処理する話ですが、心理的な重さは来ていない問い合わせの話だからです。フォームの入力欄をいくら減らしても、「連絡先を書く」という一線は消せません。

逆に言うと、フォームからの問い合わせ件数だけを見て「うちは足りている」と判断すると、この層はずっと見えないままになります。効率化の話として扱うのか、取りこぼしの話として扱うのかで、優先順位は変わってきます。

その問い合わせは、どちらで受けるか

迷ったときは、2つだけ見れば決まります。答えが決まっているかどうかと、記録や書類が要るかどうかです。

その問い合わせをフォームで受けるか、チャットで受けるかの分かれ道

答えが決まっているものはチャットで即答する。決まっていないが会話で進むものは担当者へ渡す。書類や記録が要るものはフォームへ送る。この3つに分ければ、どちらを使うかで迷う場面はほとんどなくなります。

チャットボットなら何でもよい、ではない

ひとつ注意があります。チャットボットには、あらかじめ用意した選択肢の中でしか答えられないシナリオ型と、教えた情報をもとに文章で答える生成AI型があります。

シナリオ型で「その質問には対応できません」と返ってしまうと、お客さまから見ればフォームより手間がかかったのに何も解決していないことになります。これはチャットボット導入がうまくいかない典型で、チャットボット導入の失敗事例から考える|なぜ使われないまま終わるのか、根本原因と対策を読み解くでも扱っています。

2つの型の違いと選び分けはシナリオ型と生成AI型のチャットボットを比較するにまとめてあります。仕組みそのものを知りたい場合はRAGチャットボットとは?非エンジニアでもわかる仕組みと、中小企業での現実的な活用法のほうが読みやすいはずです。

SHIRITAIでは、どう受けるか

答えの決まっているものは、その場で返す

登録した内容をもとに答えます。フォームに書いてもらうしかなかった「この条件だといくらですか」のような聞き方にも、条件を組み合わせて返せます。

SHIRITAIのチャット画面。自己紹介ボットが、教えた情報だけをもとに質問へ回答している例

教えていないことは推測で答えません。フォームの代わりに置く窓口である以上、ここは大事なところだと思います。

答えられないものは、人へ渡す

すべてを自動で終わらせる必要はありません。お客さま側からも担当者を呼べるようにしておくと、答えが出ないまま閉じられてしまう事態を避けられます。

お客様側のチャット画面。AIの回答の下の「担当者に聞く」から人につながる

担当者は、それまでのやり取りが見えた状態で会話に入ります。お客さまに同じ説明をもう一度させずに済みます。有人切替は用意されています。渡し方の設計はAIチャットボットの有人切替(ハイブリッド対応)をうまく設計する方法:「いつ渡すか」で決まる顧客満足度で詳しく書いています。

「送られなかった問い合わせ」が見えるようになる

フォームでいちばん惜しいのは、送信されなかった疑問が記録に残らないことでした。チャットなら、実際にどんな言葉で何を聞かれたかが残ります。

SHIRITAIの利用履歴画面。実際に来た質問(費用はいくら? など)と利用回数180回が時系列で残る

ここに並ぶ質問は、そのまま「フォームでは拾えていなかったもの」の一覧です。よく聞かれることが分かれば、サイトの文章そのものを直す判断もできます。

こんな質問に、こう答えます

フォームには書かれないまま消えていた質問と、その場で返る答えの例です。

登録した内容:見積もりは無料。図面がある場合は3営業日、無い場合は打ち合わせのうえ1週間ほど

質問

見積もりって、頼んだらお金かかりますか

回答

お見積もりは無料で承っています。図面をお持ちでしたら3営業日ほど、お持ちでない場合は一度お打ち合わせのうえ1週間ほどをいただいております。ご希望があれば、このままご依頼の受付にお進みいただけます。

「見積もりは有料かもしれない」という不安は、フォームには書かれません。ここで解けると、そのまま依頼に進みます。

登録した内容:対応エリアは関西2府4県。それ以外は出張費を別途相談

質問

三重なんですけど、来てもらえますか

回答

通常の対応エリアは関西2府4県で、三重県はエリア外となります。ただし出張費を別途ご相談のうえ、対応させていただいたご依頼もございます。ご希望の場所と時期をお聞かせいただければ、担当者から可否をご連絡いたします。

「たぶん対象外だろう」と思った人は、フォームを開きません。条件と例外を返せると、拾える相談が増えます。

書類が要る手続きは、フォームへ案内する

質問

契約している内容を変更したいです

回答

ご契約内容の変更は、記録を残す必要があるため、専用のフォームからお手続きをお願いしております。変更したい項目とご契約者名をご記入いただければ、担当者が確認のうえご連絡いたします。ご不明な点があれば、この場でお答えします。

チャットで完結させず、フォームへ渡すべき例です。どちらか一方に寄せないほうが、結果として速く終わります。

困りごと別|SHIRITAIで解決できること10

左が現場でいま起きていること、右がSHIRITAIでどう受けられるかです。

いま起きていること SHIRITAIでどう受けるか
フォームを開いた人が、送信せずに離れている 会話の途中で答えが出るので、そのまま話が進む
何を聞きたかったのか分からないまま消えている 実際に聞かれた言葉が利用履歴に残る
返信までに時間がかかり、他社で決まってしまう 答えの決まっている質問はその場で返る
夜間・休日の問い合わせが翌営業日まで止まる 時間帯に関係なく一次対応が動く
「まだ聞くほどではない」層に接点がない 名前を書かなくても質問できる窓口になる
フォームに書かれた文章が短く、要件が分からない 会話でやり取りしたうえで担当者に渡せる
同じ質問への返信を何度も書いている 登録した内容から自動で返る
担当者によって返信の内容が違う 登録した内容が答えの正本になる
書類が必要な手続きまでチャットで来てしまう フォームへ案内する形で登録しておける
フォームの設置場所を変えるのが手間 発行されたコードを貼るだけで置ける

全部を一度にやる必要はありません。フォームはそのままにして、いちばん多い質問を2つか3つ登録するところから試せます。

よくある質問

チャットボットを入れたら、フォームは無くしたほうがいいですか?

残しておくことをおすすめします。見積もり依頼や契約変更のように、記録が残る形で受けたい問い合わせは確実にあります。フォームを消すと、そういった依頼の行き場がなくなります。チャットは「フォームまで行かなかった人」を拾う役割だと考えると、置き方が決めやすくなります。

問い合わせ件数は増えますか、減りますか?

チャットを含めた総数は、たいてい増えます。電話やフォームを使うほどではないと諦められていた質問が表に出てくるためです。減るのは人が直接対応した件数のほうなので、比べるときはそちらを見てください。

名前やメールアドレスを取らないと、営業につながりませんか?

最初に聞かないほうが、結果として話が進むことが多いはずです。会話の中で「見積もりを出しましょうか」という流れになってから連絡先を伺えば、そこで書いてもらえます。入り口で聞くと、その手前で離れる人のほうが多くなります。

どこに置くのが効きますか?

料金ページと、問い合わせフォームの手前が効きやすい場所です。どちらも「あと一歩で迷っている人」が見ているページだからです。よくある質問ページの下だけに置くと、たどり着ける人が限られます。使い分けはFAQページとチャットボットの使い分け|「よくある質問」が読まれない理由もあわせてご覧ください。

まず何から準備すればいいですか?

直近1か月ぶんのフォーム送信と、電話で受けた質問を並べてみてください。同じ内容が繰り返し出てくるはずなので、その上位20件が最初に登録する内容になります。窓口全体の受け持ちの決め方はカスタマーサポートのAIチャットボット|任せる範囲の決め方と、品質のそろえ方で整理しています。

まとめ

フォームとチャットボットは、優劣ではなく受け持ちの違いです。フォームは整理された依頼を確実に受け取る窓口として残り、チャットはフォームまでたどり着かなかった問い合わせを拾います。

こちらからフォームで営業の文面を送っている場合は、送ったあとに相手がサイトへ来たときの受け止め方をフォーム営業のあと、相手はサイトに来ているに整理しました。

判断に迷ったら、答えが決まっているか、記録が要るか、の2つで分けてみてください。フォームで足りている会社もありますし、それはそれで構いません。ただ、フォームページの表示回数と送信数の差が大きい場合は、見えていない問い合わせがあると考えたほうが自然だと思います。実際の動きを確かめたい場合は、無料トライアルで自社の質問を登録して、返ってくる答えを見てみてください。

SHIRITAI(シリタイ)は、HELATH株式会社が提供するAIチャットボットサービスです。

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