フォーム営業のあと、相手はサイトに来ている|送って終わりにしない受け止め方
フォーム営業に返信が来なくても、文面に載せたURLに印を付けて、見に来た相手を受け止めるという手は打てます。返事を書く前にまず会社を調べる人はいるので、返信が無い日でも相手はサイトを開いているかもしれません。そこに、文面の続きにあたる一言を出しておきます。分かるのは会社名でも個人名でもなく、その印から始まった会話で何を聞かれたか、というところまでです。
送ったのに、返事が来ない
問い合わせフォームから営業の文面を送る。何十件と送って、返信は0件。そういう週が続くと、文面が悪かったのか、送り先の選び方が雑だったのか、そもそもこのやり方に意味があるのか、と順番に疑いたくなります。
逆の立場もあります。自社のフォームに、知らない会社からの案内が毎日届く。担当者が一件ずつ目を通して、ほとんどを削除する。送る側と受ける側の両方に心当たりがあるのが、この話のややこしいところです。
ただ、返信が0件だったことと、誰にも読まれなかったことは、同じではありません。読んだ人が、返信とは別の動き方をしていた可能性が残っています。
受け取った人が最初にするのは、返信ではなく検索
紙のダイレクトメールの調査ですが、参考になる数字があります。日本ダイレクトメール協会が総務省の会議に提出した資料「DMメディアの現状」(2024年9月25日)に、本人宛のDMを受け取ったあとの行動が載っています。2023年12月の調査(回答1,076人)で、何らかの行動をした人は19.7%。その内訳でいちばん多かったのが「ネットで調べた」10.0%で、「問合せた」3.5%、「資料請求した」1.1%を大きく上回っていました。
紙のDMとフォームからの連絡では届き方が違いますし、この数字をそのまま自社に当てはめることはできません。それでも、行動の並び方は読み取れます。受け取った人がまずやるのは、返事を書くことではなく、その会社を調べることのほうだ、ということです。
調べるとどうなるか。会社名かサービス名を検索して、サイトを開きます。つまり返信が来ていないその日に、相手はもう自社のサイトを見ているかもしれないということです。

問題は、そこから先です。サイトの側から見ると、その人は今日はじめて来た知らない訪問者でしかありません。送った文面の話は、どこにも出てきません。相手は自分で読み進めて、知りたいところに届かなければ静かに閉じます。返信する理由が、どこにも置かれていないわけです。
来た人を放っておくとどうなるかについては、Webサイトで「接客」できていますか?チャットボットで待ちを先回りに変えるでも別の角度から書いています。
この区間だけ、誰も測っていない
営業のやり方について公的な資料を探すと、接点をつくるところまではそれなりに書かれています。ところが「連絡を受け取った人が、そのあとサイトで何をしたか」を測った公的な統計は見当たりません。総務省の通信利用動向調査、各種白書、業界団体の資料まで当たってみましたが、この区間は空白のままでした。
サイトそのものは、たいていの会社にあります。総務省の令和7年通信利用動向調査(企業編、有効回答2,489企業)では、自社ホームページの開設率が93.3%でした。対象は常用雇用者100人以上の企業なので全企業の数字ではありませんが、「調べたら出てくる場所」を持つ会社が少なくないことは分かります。
あるのに、受け止める作りにはなっていない。送る技術の話は山ほど流通しているのに、受け皿の話がほとんど出てこないのは、たぶんここが誰の担当でもないからでしょう。
送る側の線引きについて、確かめられたことだけ
受け止め方の本題に入る前に、送る側の線引きに触れておきます。ここは決めつけず、条文と公的資料で確かめられた範囲だけを書きます。
フォーム送信が法律の対象かどうかは、断定できない
特定電子メール法が対象にしている「電子メール」は、通信方式で絞られています。法2条1号を受けた総務省令(平成21年総務省令第85号)が定めているのは、「その全部又は一部においてシンプルメールトランスファープロトコルが用いられる通信方式」と、携帯端末どうしで電話番号を使ってやり取りする方式の2つだけです。
問い合わせフォームの送信そのものは、このどちらにも当たらないと読むのが条文上は素直です。ただし省令は「その全部又は一部において」と書いていますし、フォームの内容がサーバーから担当者宛のメールに転送される作りは珍しくありません。そして公的な資料の中に、フォームからの営業送信を名指しで整理した記述は見つけられませんでした。ですからこの記事では「対象外だから問題ない」とも「違法だ」とも書きません。世の中の解説は両方の言い分に割れていますが、どちらも条文を最後まで開いていないように見えます。
はっきり書かれていること
一方で、条文にはっきりしている部分もあります。特定電子メール法の施行規則3条は、自分のメールアドレスを誰でも見られる状態に置くことを「公表」と定めたうえで、そのアドレスと併せて送信しないよう求める文言を掲示していた場合は、この限りでないという但し書きを付けています。「広告メールお断り」とアドレスの横に書いてある会社は、公表していない扱いになる、ということです。
総務省と消費者庁のガイドラインも、サイトでメールアドレスを公開している事業者へ、事業者間で製品やサービスの案内を送ることについては、商習慣として一定の範囲で認められる趣旨を説明しています。裏を返せば、但し書きが付いている相手は、その範囲の外に出ます。
フォームの近くに「営業目的の送信はご遠慮ください」とだけ書かれている場合、この但し書きが直接あてはまる話ではありません。それでも、断りの意思が示されている事実は同じです。送らない、でよいはずです。法律の話というより、取引の入口での礼儀の問題でしょう。
逆に、自社に届く営業連絡を止めたい側なら、断りの文言はメールアドレスの直前か直後に置いてください。経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を読むかぎり、フッターの奥に規約を置いておくだけでは弱いようです。
ここから先は、送るのをやめない場合の話です。送った文面を読んで来た人を、どう受け止めるか。
URLに、印を付けておく
やることは1つだけです。文面に自社のURLを入れるなら、そのURLの後ろに短い印を足しておきます。
https://example.co.jp/service/?src=form0822
後半の ?src=form0822 が印です。URLの後ろに「?」を付けて足す短い文字列で、パラメータと呼ばれます。開いたときのページの中身は何も変わりません。変わるのは、そのURLから来た人だけを、こちら側で見分けられるようになることです。
値は自分で決められます。8月22日に送った分なら form0822、9月に別のリストへ送るなら form0901。分けておくほど、あとで見るときに細かく分かれます。

印が付いていれば、その人にだけ別の声かけを出せます。はじめて来た人と同じ扱いをしなくてよくなる、というだけの話です。ただ、返事が来ない理由の一つは、たぶんここにあります。
判定する範囲は「最初に開いたページ」にしておく
SHIRITAIでは、この印を見る範囲を、いま見ているページ/最初に開いたページ/どちらか、から選べます。ここは「最初に開いたページ」を選んでおくのが実務的です。
理由は単純で、人はサイトの中を移動するからです。印の付いたURLで着地したあと、料金のページや会社概要へ進むと、その先のURLに印は残っていません。いま見ているページで判定していると、2ページ目で「印の付いていない人」に戻ってしまいます。最初に開いたページで判定しておけば、どこを回っても同じ人として扱えます。仕組みの説明はURLパラメータ受け渡しの機能ページにあります。
SHIRITAIでは、どう設定するか
ここからは実際の画面です。SHIRITAIは、詳細設定の応答タイプで営業AIモードを選ぶと、サイドバーに「トリガー」が出てきます。トリガーというのは、先回りの声かけを出す条件のことです。
1. 条件を、上から順に決める
設定は、どこで・URLの印・どこから来た人に・いつ・誰に・何回・何を、の順に並んでいます。フォーム営業の続きとして出す場合は、こんな組み合わせになります。
- どこで:文面に載せたページ。すべてのページ/URLに含む/このパスで始まる/完全一致などから選べます
- URLの印:src というキーが付いている人。値まで指定すれば、form0822 で来た人だけに絞れます。判定の対象は、いま見ているページ/最初に開いたページ/どちらか、から選べます
- どこから来た人に:検索・SNS・広告・外部サイト・直接アクセスなど、流入元でも絞れます。今回は印のほうで絞るので、ここは指定しなくて構いません
- いつ:たとえば10秒とどまったら。スクロールが何%まで進んだら、離れそうな動きをしたら(パソコンのみ)、何回目以降の訪問か、といった指定もできます
- 誰に:パソコンとスマートフォンの両方か、どちらかだけか

条件が重なったときは、優先順位の高いものが1本だけ出ます。あれもこれも同時に出て画面が埋まる、ということは起きません。最初の一声にAIを使わない作りなので、出るまでに間が空くこともありません。
2. 受け取るキーを登録して、履歴に残す
もう1つ、やっておくことがあります。パラメータ管理の画面で、受け取るキーをカンマ区切りで登録しておく作業です。登録したキーだけが利用履歴に残ります(値は200文字まで)。src と書いておけば、src の値が会話に紐づいて残ります。
渡し方は3通りあります。いま説明したページのURLに付ける方法、埋め込みコードに data-shiritai-キー名 として書く方法、ページ側で window.SHIRITAI_PARAMS に入れる方法。文面から来てもらうなら、URLに付ける方法がいちばん手軽です。


履歴はキーと値で絞り込めますし、書き出したCSVには param:キー名 という列で出ます。8月22日に送った文面から来た人の会話だけを、あとから並べて読めるということです。何を聞かれたかが分かれば、次に送る文面の中身も変わってきます。会話の記録の読み方そのものは会話ログとは?チャットボットの記録から「お客さまの本音」を見つける読み方と活かし方にまとめました。
3. 出しすぎない

回数の設定は3種類あります。条件に合えば毎回/1回の訪問につき1度/同じ訪問者には一度だけ。これに、次に出すまでの最短時間と、1回の訪問で出す上限を足せます。
文面の続きとして出すなら、1回の訪問につき1度で足りるはずです。読んで来ている人は、こちらに用があって来ています。何度も話しかけて用事の邪魔をする必要はありません。表示頻度を「1回の訪問につき1度」か「同じ訪問者には一度だけ」にしておけば、断られたことを覚えて出し直しません。ここは既定が「条件に合えば毎回」なので、必ず選び直してください。画面全体をふさぐ形でも開きません。
送った文面と、出す声かけを、机の上に並べて読んでみてください。同じことを二度言っていたら、書き直すのは二度目のほうです。
4. 効いたかどうかを、数字で見る
アナリティクスに、トリガーごとの表示回数・反応数・反応率が出ます。

見るのは反応率です。表示だけ増えて反応が少なければ、声かけの中身か、出すタイミングのどちらかが合っていません。文面を1つだけ変えて2週間ようすを見る、という直し方が現実的だと思います。指標の決め方や月次での見せ方はチャットボットのKPI設定と効果測定に整理してあります。
声かけの中身は、文面の続きにする
設定より難しいのは、出す言葉のほうです。よくある失敗は、はじめましての自己紹介をもう一度出してしまうことだと思います。相手はその自己紹介を読んだうえで、わざわざ調べて来ています。もう一度同じ話をされると、読んだことを無かったことにされた感じがします。
出すべきなのは、文面に書いたことの続きです。「先ほどご案内した件で」から始めて、次の一歩だけを置く。読み終わった人が知りたいのは、たいてい料金か、自社にも当てはまるのか、誰に聞けばいいのか、のどれかに寄ります。
選択肢の動きは4つから選べます。AIに質問する/決まった内容を表示(AIを使わない)/リンクを開く/チャットを開くだけ。料金表のように答えが決まっているものは「決まった内容を表示」で返すと、言い回しがぶれません。
条件:src=form0822 の印が付いたURLから来て、10秒とどまった人
先日フォームからご案内した、問い合わせ対応の件でしょうか。料金と、始めるまでの流れをこの場でお出しできます。
料金だけ知りたいです
月額9,800円からのプランをご用意しています。ご利用の規模で変わりますので、プランごとの違いをこのままお出ししましょうか。
条件:同じ印から来て、会社概要のページを見ている人
フォームからのご連絡でお騒がせしました。どんな会社かをご覧いただいているところかと思います。事業の内容と、実際の対応範囲をお出しできます。
そもそも、うちの何を見て送ってきたんですか
公開されている事業内容を拝見してご連絡しました。ご不要でしたら以後お送りしません。ご連絡先をいただければ、その旨だけ承ります。
条件:同じ印から来て、離れそうな動きをした人(パソコンのみ)
いますぐでなくても構いません。検討の材料になる資料を1つにまとめてありますので、お持ち帰りいただけます。
それだけもらえますか
ご連絡先をこの画面でうかがったうえで、すぐにメールでお送りします。入力は3項目です。
困りごと別|SHIRITAIで解決できること10
左が送ったあとに実際に起きていること、右がSHIRITAIでどう受けられるかです。
| いま起きていること | SHIRITAIでどう受けるか |
|---|---|
| 送った文面に返信が来ない | 印を付けたURLから来た人にだけ、文面の続きになる声かけを出す |
| 誰が読んで来たのか分からない | 受け取るキーを登録すると、その値が利用履歴に残る |
| どの配信からの反応か区別できない | 値を配信ごとに分けておけば、履歴で絞り込める。CSVにも列で出る |
| 来ても、はじめての人と同じ扱いになる | URLパラメータを条件にして、出す言葉を切り替える |
| 2ページ目に進むと、どこから来たか分からなくなる | 判定の範囲を「最初に開いたページ」にすると引き継げる |
| 声かけが何度も出て、うるさくなる | 1回の訪問につき1度、次に出すまでの最短時間、1訪問あたりの上限を決められる |
| 条件をいくつも作ると、同時に出てしまう | 条件が重なっても、優先順位の高い1本だけが出る |
| 声かけが効いているのか分からない | トリガー別に表示回数・反応数・反応率が出る |
| 問い合わせフォームまで進んでもらえない | 会話の中にフォームを出し、ページを移らずに送信まで受ける |
| いますぐではない人を取りこぼす | 資料と引き換えに連絡先を受け取り、申込者へ自動でメールが届く |
全部を一度にやる必要はありません。印を1つ決めて、トリガーを1本作るところまでで、見えるものは変わります。
よくある質問
URLに印を付けると、相手に不審に思われませんか?
URLの後ろに短い文字が足されるだけで、開いたページの中身は変わりません。src=form0822 のように見て意味の分かる値にしておくと、こちらの管理も楽になります。個人を追いかけるものではなく、どの案内から来たかの目印です。残るのも、パラメータ管理で登録したキーの値だけです。
どこの会社の人が来たのか、名前まで分かりますか?
分かりません。SHIRITAIは、来訪した会社を特定する作りにはなっていません。分かるのは、印の付いたURLから始まった会話がいくつあって、そこで何を聞かれたか、というところまでです。相手が名乗るのは、問い合わせや資料請求で自分から連絡先を書いたときだけ。見ているのも自社サイトに来たあとの動きだけで、送った文面を誰が開いたかを個人と結び付けるような追いかけ方はしていません。
「営業お断り」と書かれているフォームには、送らないほうがいいですか?
送らないでおくのがよいと思います。本文に書いたとおり、メールアドレスと併記されている場合は、そのアドレスは公表していない扱いになります。フォームだけに書かれている場合は法的な議論が別になりますが、断りの意思が示されている事実は同じです。読む前から印象を悪くする送り方に、得はありません。
フォームからの営業と、サイトのチャットは、結局どう使い分けるのですか?
送るほうは相手のところへ出向く手段、チャットは来てくれた人を受ける手段です。送ることの成果を上げたいなら、文面を磨くより先に、来た人が話しかけられる状態にしておくほうが早い場合があります。フォームとチャットの守備範囲の違いは問い合わせフォームとチャットボットの違いで整理しました。
費用はどれくらいですか?
月額9,800円から用意しています。プランごとの違いは料金ページをご覧ください。費用を検討する前に、印を1つ決めてトリガーを1本作るところまで試してみると、必要な範囲が見えやすくなります。
まとめ
フォーム営業がうまくいかない理由を、文面の出来だけに求めると、たいてい行き止まりになります。読んだ人は返事を書く前に検索して、サイトに来ているかもしれない。けれどサイトの側は、その人を知らない訪問者として扱っている。埋まっていないのは、送る技術ではなく、来たあとの数分のほうです。
手順は3つです。①送る文面に載せるURLに印を付ける ②その印を条件にしたトリガーを1本だけ作り、文面の続きになる言葉を置く ③2週間後に、利用履歴と反応率を見る。集める側で終わらせない設計の考え方はチャットボットのマーケティング活用もあわせてご覧ください。
実際の画面で条件の組み方を見てみたい場合は、無料トライアルでトリガーを1本作って、自社のURLに印を付けたところから試してみてください。
SHIRITAI(シリタイ)は、HELATH株式会社が提供するAIチャットボットサービスです。