社内規程・マニュアルをAIに読ませる前にやること
社内規程やマニュアルをAIに読ませると、質問した言葉のまま答えが返るようになります。手順書のどのページに書いてあるかを覚えていなくてよくなるので、社内問い合わせにはよく効きます。
ただし、始める前に決めておくことがあります。いちばん危ないのは改定前の版が混ざることです。人なら「これは去年の資料だ」と気づきますが、機械は日付を見て判断してくれません。古い条件を、自信を持って答えます。
読ませる前にやること

1. いま有効な版だけを選ぶ
共有フォルダには、たいてい「規程_2024改定.pdf」と「規程_最新.pdf」と「規程_v3_確定.pdf」が同居しています。全部読ませると、どれを使って答えたのか分からなくなります。
作業としては地味ですが、ここを丁寧にやるかどうかで結果が決まります。1種類につき1ファイルにしてから読ませてください。
2. 見出しを付ける
章立てのない長文は、どこを答えに使えばいいかが定まりません。既存の文書に見出しが無い場合は、大きな区切りだけでも付けておくと変わります。
3. 社内語に読み替えを添える
「与信」「稟議区分B」「甲区分」といった言葉は、その会社でしか通じません。聞く側が別の言い方をすると当たらなくなるので、意味を1行足しておくと拾いやすくなります。
4. 読ませない範囲を決める
人事評価、個人が特定できる情報、社外秘の取引条件。読ませない範囲を先に決めるのが、いちばん大事な準備です。あとから「あれは入れるべきではなかった」となると、取り消すのに手間がかかります。
準備でいちばん時間を使うのは、いま有効な版を選ぶ作業でした。地味ですが、ここを飛ばすと「去年の条件を自信満々に答える窓口」ができあがります。1種類につき1ファイル。ここだけは丁寧にやってください。
向く文書・向かない文書

議事録やメールの束は、混ぜないほうがいい
「検討中」「A案で進める予定」といった経過の記述が、決定事項として答えに出てきます。会議で否決された案が、そのまま回答になることもあります。
頻繁に変わる数字は、別に持つ
在庫数や当月の価格のように毎日変わるものは、文書として読ませる形には向きません。読ませた時点の数字が固定されるためです。こうしたものは、別の仕組みで持つか、そもそも答えさせない範囲にしてください。
回答が返るまでの流れ

この仕組みは一般にRAGと呼ばれます。登録した文書の中から関連する箇所を探して、そこをもとに答えを作る形です。仕組みそのものについてはRAGチャットボットとは?非エンジニアでもわかる仕組みと、中小企業での現実的な活用法にまとめてあります。
実務で大事なのは4つ目の出所を示すところです。「どの文書の、どのあたりに書いてあるか」が添えられていれば、確かめられます。出所を示せない答えは、正しくても確認のしようがありません。
SHIRITAIだと、どう読ませるか
ここからは実際の画面です。上で書いたことが、どの画面にあたるかをお見せします。
取り込んだ資料と、切り出された数が並ぶ
何を読ませているかが一覧になります。準備でいちばん大事な「版を1つに」を、ここで目視できます。

資料ファイル。画像解析のチェックは、資料を上げる前に決めます。(画像解析)
資料は、書き直さずそのまま渡す
関連データの欄からファイルを添えます。整えるのは版を選ぶところまでで足ります。

ナレッジ追加。資料は「関連データ」の欄からも渡せます。(資料から作成)
出所を示す:資料名とページ番号が出る
「出所が示せない答えは確かめようがない」と書いた部分の、実物です。

出典表示。答えの下に、もとにした資料名とページ番号が出ます。(AI自動応答)
読ませていないことは、作らずに返す
推測で答えないので、古い資料を混ぜていなければ事故になりません。

登録していないことを聞かれたとき。作らずに、お問い合わせへ案内します。(AI自動応答)
やりがちな失敗
共有フォルダを丸ごと読ませる
古い版と新しい版が混ざり、どれを使ったか分からなくなります。まず10ファイルほどに絞って、答え方を確かめてから広げてください。
議事録を混ぜる
検討中の案が決定事項として返ってきます。決まったことは、規程やマニュアルの側に反映してから読ませるのが順番です。
読ませない範囲を決めずに始める
あとから外すのは手間がかかります。人事評価・個人情報・社外秘の取引条件は、最初から対象外にしておいてください。
読ませたあとの確認のしかた
読ませて終わりにせず、必ず答え方を確かめてください。手順は決まっています。
- 実際に来ている質問を30件投げる。想像した質問では判断できません
- 答えの出所を、元の文書で確かめる。上位10件だけでも構いません
- 金額・期限・条件が入る答えを、重点的に見る。ここが間違うと事故になります
- 答えられなかったものを数える。7割答えられていれば、広げる値打ちがあります
2つ目を飛ばすと、それらしい答えをそのまま信じることになります。正しく見える答えほど、出所を確かめるという順番にしてください。
文書を最新に保つ、現実的な手順
いちばん多い失敗は、読ませたあと放置されることです。次の3つを決めておくと続きます。
| 決めること | 具体的に |
|---|---|
| いつ差し替えるか | 規程を改定する作業手順に「読ませているファイルを差し替える」を1行足す |
| 誰が差し替えるか | 改定を担当した部署。窓口の担当者に伝わるのを待たない |
| 年に一度の棚卸し | 読ませている文書の一覧を出して、いま有効かを確かめる |
1つ目が肝心です。担当者の記憶に頼ると必ず抜けます。手順書に1行入れるという、それだけの作業で防げるところです。
読ませる文書を、どこまで直すか
「きれいに整えてから」と考えると、いつまでも始まりません。直すのは次の3つだけで足ります。
- 版を1つに絞る。これは必須です。ここだけは飛ばさないでください
- 章の見出しを付ける。無い場合だけ。既にある文書は触りません
- よく使う社内語に、意味を1行足す。10語ほどで足ります
逆に、やらなくていいことも挙げておきます。文章を平易に書き直す、体裁をそろえる、ファイル形式を統一する。この3つは、答えの質にほとんど影響しません。
読ませたあと、社内にどう案内するか
用意しても、使われなければ意味がありません。案内の文面は、次の3点を入れると使われやすくなります。
| 入れること | 書き方の例 |
|---|---|
| 何が聞けるか | 「就業規則・経費精算・情報システムの手順について答えます」 |
| 答えられないこと | 「個別の事情がある相談は、担当部署へお願いします」 |
| 間違っていたときの連絡先 | 「答えがおかしいときは、総務までお知らせください」 |
3つ目が大事です。間違いを報告してもらう道を作っておくと、直すべき箇所が現場から上がってきます。これがないと、社員は「使えない」と判断して黙って使わなくなります。
よくある質問
社内規程をAIに読ませて、間違った答えが返ることはありませんか?
登録した文書の範囲で答える形であれば、書いていないことを作って答えることは起きにくくなります。ただし、改定前の版が混ざっていると古い条件をそのまま答えます。人は日付を見て気づきますが、機械は気づきません。1種類につき1ファイルに整理してから読ませるのが、いちばん確実な対策です。
どんな文書がAIに読ませるのに向いていますか?
業務マニュアル、手順書、FAQや過去の回答集が向いています。逆に、議事録やメールの束は避けてください。検討中の案や否決された案が決定事項として答えに出てきます。在庫数や当月価格のように頻繁に変わる数字も、読ませた時点で固定されるので向きません。
読ませてはいけない文書はありますか?
人事評価、個人が特定できる情報、社外秘の取引条件は対象外にしてください。あとから外すのは手間がかかるので、始める前に「読ませない範囲」を決めておくことをおすすめします。あわせて、誰がその窓口を使えるのかという公開範囲も、最初に設定しておく部分です。
規程を改定したときは、どうすればいいですか?
該当するファイルを差し替えます。どこに古い記述が残っているかを探し回らずに済むのが、この形の利点です。ただし、改定の作業手順に「読ませているファイルを差し替える」の1行を入れておかないと必ず抜けます。担当者の記憶に頼らず、手順に組み込んでください。
社内語が多い文書でもうまく答えられますか?
その会社でしか通じない言葉は、意味を1行足しておくと拾いやすくなります。「与信」「稟議区分B」といった言葉をそのまま使っていると、別の言い方で聞かれたときに当たりません。全部に足す必要はないので、よく聞かれる範囲の用語から手を付けてみてください。
まとめ:準備の8割は「版を選ぶこと」
社内規程やマニュアルをAIに読ませるときの準備は、有効な版だけを選ぶ・見出しを付ける・社内語に読み替えを添える・読ませない範囲を決める、の4つです。中でも最初の1つが、答えの正しさをいちばん左右します。
SHIRITAIは、PDFやWordをそのまま読み込ませて、その中身から答えを返すAIチャットボットです。まず10ファイルほどで答え方を確かめたい方は、無料トライアルをお使いください。自前で作るか既製のものを使うかは社内RAGの作り方と、作らないほうがいい場合にまとめています。
SHIRITAI(シリタイ)は、HELATH株式会社が提供するAIチャットボットサービスです。