社内問い合わせが多い会社が、まず数えるもの
社内問い合わせを減らしたいとき、最初にやることは仕組みを入れることではなく、1週間だけ数えることです。数えてみると、多くの会社で半分以上が「同じ質問の繰り返し」になります。ここが分かれば、手を打つ場所は自然と決まります。
数えるときのコツはひとつ。口頭で聞かれた分まで拾うことです。メールとチャットだけを集計すると、実態の半分しか見えません。社内の問い合わせは、席まで来て聞かれるものが相当な割合を占めます。
社内問い合わせは3か所に集まる

総務・人事と情報システムに集まるのは分かりやすいところです。制度が変わったとき、新しい人が入ったとき、決算の時期。決まった山があります。
厄介なのは3つ目です。「この件はあの人に聞けば早い」という形で、部署ではなく個人に集まります。窓口として設けたわけではないので件数が誰にも見えず、本人が抱えたまま忙しくなります。この状態は、本人にとっても会社にとっても良くありません。
1週間だけ数える

いちばん右の「なぜ聞かれたか」が肝心なところです。「経費精算の締め日」という記録だけでは直せませんが、「案内メールが埋もれている」まで分かれば、直す場所が決まります。
口頭の分をどう拾うか
紙を1枚デスクに置いて、正の字を書くだけで構いません。1件15秒です。それも面倒なら、1日の終わりに「今日、何を聞かれたか」を思い出して3行書くだけでも、傾向は見えてきます。
完璧に取ろうとすると3日で止まります。取れなかった日は空欄のままにして、1週間続けてみてください。
数えると、3つに分かれる

同じ質問の繰り返し
いちばん多いのがこれです。答えは決まっていて、聞く人が毎回違うだけ。答えを1か所に置いて、そこに行けば分かる状態を作れば消えます。ただし「置いてあるのに聞かれる」場合は、置き場所か見つけ方に問題があります。
探せば分かる質問
社内にはあるが、たどり着けない質問です。共有フォルダの階層が深い、ファイル名が「最終版_2」になっている、検索しても本文まで当たらない。この種類の質問が多い場合は、答えを増やすより探し方を変えるほうが効きます。詳しくは社内文書の検索がうまくいかない理由に書きました。
本当に判断が要る相談
ここは人が持つ部分です。個別の事情がある、例外を認めるかどうか、他部署との調整が必要。この2割を守るために、上の8割を減らすと考えると、優先順位が付けやすくなります。
数えるときに、口頭で聞かれた分を必ず入れてください。メールとチャットだけだと、実態の半分しか見えません。そして、席まで来て聞かれる質問がいちばん仕事を止めています。
数えたあと、どこから手を付けるか
| 数えて分かったこと | 先にやること |
|---|---|
| 同じ質問が多い | 上位10件の答えを1か所に置く。置き場所は探さず開ける場所に |
| 探せば分かる質問が多い | 置き場所の整理より先に、検索で当たる状態にする |
| 特定の個人に集まっている | その人が答えている内容を10件だけ書き出す |
| 特定の時期に集中する | その時期の前に、案内を先出しする |
作り方の手順は社内FAQの作り方に、管理のしかたは社内問い合わせの管理方法にまとめてあります。
SHIRITAIだと、社内向けにどう使うか
ここからは実際の画面です。上で書いたことが、どの画面にあたるかをお見せします。
数える工程が、集計されて出てくる
聞かれた言葉が、意味の近いものごとにまとまります。1週間の記録を手で取らずに済みます。

質問分析。聞かれた言葉が意味の近いものごとにまとまります。(アナリティクス)
月ごとの切り替えと、経由・評価での絞り込み
先月と比べてどうかを、そのまま見られます。

月の切り替えと、経由・評価での絞り込み。(利用履歴)
社内向けは、配布したURLと番号を持つ人だけが開ける
誰でも見られる場所に社内の規程を置かずに済みます。

社内向けに作ったチャットボット。配布したURLと番号を持っている人だけが開けます。(社内モード)
番号の一覧と、番号ごとの配布URL
部署ごとに配る番号を分けておくと、どこから何を聞かれているかも分かれます。

社内モードの設定。番号の一覧と、番号ごとの配布URL。(社内モード)
やりがちな失敗
数えずに仕組みから入る
社内wikiを作った、チャットボットを入れた。それでも聞かれ方が変わらないのは、聞かれている内容と置いた内容がずれているからです。1週間の記録があれば、そのずれは起きません。
口頭の分を数えない
メールとチャットだけ集計して「思ったより少ない」と結論を出すと、実態を半分しか見ていないことになります。席まで来て聞かれる分が、いちばん中断の負担が大きい部分でもあります。
全部を減らそうとする
判断が要る相談まで自動化しようとすると、かえって不便になります。減らす対象は、繰り返しと探せば分かる質問の8割です。
部署ごとに数えると、見えるもの
全社の合計だけを見ていると、打つ手が決まりません。受けている側と、聞いている側の両方で分けて数えると、原因の場所が見えてきます。
- 受けている側で分ける:総務に集中しているのか、情報システムなのか、特定の個人なのか。集中先によって、置く答えの中身が変わります
- 聞いている側で分ける:特定の部署から多いなら、その部署への案内が届いていない可能性があります。新しく入った人から多いなら、入社時の説明で埋められます
- 時期で分ける:月末、決算期、入社の時期。山が決まっているなら、その手前に案内を先出しするだけで減ります
3つの切り口のうち、いちばん偏りが大きいところが最初に手を付ける場所です。全社平均で見ると、この偏りが消えてしまいます。
よくある質問
社内問い合わせは、どうやって数えればいいですか?
1週間だけ、「どこから・誰から・質問の要旨・かかった時間・なぜ聞かれたか」の5項目をメモしてください。紙に正の字でも構いません。大事なのは口頭で聞かれた分まで拾うことと、いちばん右の「なぜ聞かれたか」を書くことです。この列がないと、記録は残っても直す場所が分かりません。
社内問い合わせが多いのは、社員の理解が足りないからでしょうか?
多くの場合は、答えの置き場所と見つけ方の問題です。案内メールは送られていても受信箱で埋もれる、手順書はあっても共有フォルダの深いところにある、といった状態だと、聞くほうが早くなります。周知を強めるより、探さずに答えに当たる形を作るほうが確実です。
特定の人に問い合わせが集中しています。どうすればいいですか?
その人が答えている内容を、上位10件だけ書き出すところから始めてください。全部を引き継ごうとすると終わりません。10件を他の人でも返せる形にするだけで、集中はかなり和らぎます。あわせて、その人に直接聞くのではなく共通の窓口に投げる流れを作ると、件数も見えるようになります。
総務や情報システムのように、部署によって内容が違っても同じ方法で数えられますか?
同じで問題ありません。項目は共通のままで、部署ごとに集計してみてください。総務は制度変更の時期に山ができ、情報システムは1件あたりが短くて回数が多い、といった違いが見えてきます。違いが見えると、部署ごとに打つ手も変えられます。
数えたあと、どのくらいで効果が出ますか?
上位10件の答えを置くだけなら、置いた翌週から繰り返しの質問は減り始めます。ただし「置いてあるのに聞かれる」状態が残ることも多いので、そこは置き場所と見つけ方を直す作業になります。1か月ほど回して、聞かれ方がどう変わったかをもう一度数えてみてください。
まとめ:1週間の記録が、いちばん確かな材料になる
社内問い合わせは、総務・人事、情報システム、そしてベテラン個人の3か所に集まります。数えてみると、繰り返し・探せば分かる・判断が要る、の3つに分かれ、上の2つで8割前後を占めることが多いです。
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