問い合わせ対応の工数を減らす|どこに時間が消えているか
問い合わせ対応の工数を減らしたいとき、多くの人が「返信を早く書く」ところから手を付けます。ところが実際に時間を食っているのは、調べている時間と、聞き返しの往復です。ここを削らないまま文面の作成だけ速くしても、1件あたりは数十秒しか変わりません。
この記事は、件数そのものを減らす話ではなく1件あたりの時間を短くする話です。件数を減らす順番については問い合わせ件数を減らす方法にまとめてあります。両方やると効き方が変わります。
1件の時間は、4つに分かれている
問い合わせ1件を最初から最後まで見ると、だいたいこの4つに分けられます。

どこが大きいかは、業種や問い合わせの中身で変わります。ただ、実際に5件ほど測ってみると、「調べる」と「往復」が思ったより大きいことに気づくはずです。ここを見ないまま「返信を早く」と言われると、現場は答えを雑にするしかなくなります。
まず1日ぶんだけ、時間を測ってみる
正確な集計は要りません。1日だけ、5件ほどを対象に「受け取ってから終わるまで」を測ってみてください。そのとき、次の3つも一緒にメモします。
- 何を調べたか(どの資料、誰に聞いたか)
- 何回やり取りしたか
- 聞き返した理由(何が書かれていなかったか)
5件も測ると、同じ理由の聞き返しが2回以上出てきます。その理由が、最初に手を付ける場所です。
工数を削る4つの手

1. 聞き返しをなくす
いちばん効くのがこれです。「型番を教えてください」「いつ購入されましたか」と聞き返すたびに、相手の返信を待つ時間が挟まります。1回の往復で半日、相手が忙しければ2日かかることもあります。
直し方は、受け付ける入口で必要な情報を先にもらうことです。フォームの項目を増やすと送信されにくくなるので、全部を必須にせず、内容によって聞く項目を変えるほうが現実的でしょう。「製品について」を選んだ人にだけ型番を聞く、といった形です。
2. 調べる時間を短くする
調べる時間が長い会社には、共通した事情があります。答えの根拠が散らばっているのです。共有フォルダ、旧サイト、担当者のメール、紙のファイル。どこにあるか分からないから、まず探すところから始まります。
置き場所を1か所にそろえるのが理想ですが、いきなり全部は無理です。まずはよく調べるもの上位10件だけを1か所に集めてみてください。それだけで調べる時間はだいぶ変わります。社内文書が見つからない原因については社内文書の検索がうまくいかない理由で掘り下げています。
3. 同じ答えを再利用する
よく使う説明は、そのまま貼れる形で持っておきます。ただし、テンプレートを増やしすぎると「どれを使うか探す」時間が生まれるので、20個を超えたら整理どきです。書き方と限界は問い合わせ返信の例文と、テンプレートで足りなくなる場面にまとめました。
4. 人が出る前に片づける
ここまでの3つは「担当者が対応する前提」での改善です。4つ目は、担当者の手元に届く前に終わらせる話になります。営業時間・送料・手続きの方法といった定型の質問は、自動で答えてしまって構いません。
目安として、定型の質問が全体の3割を占めていれば、その3割ぶんの時間がまるごと空きます。1日8件のうち2.4件が自動で終われば、1件12分として月に約9.6時間です。

工数の話は、時間に直すと社内で通ります。「対応が大変です」では予算も人も動きませんが、「月に9.6時間、他の仕事に回せます」なら判断できる話になります。件数×分数の掛け算だけ、先に出しておくのがおすすめです。
SHIRITAIだと、どこが短くなるか
ここからは実際の画面です。上で書いたことが、どの画面にあたるかをお見せします。
調べる:資料をそのまま渡して、そこから答えさせる
共有フォルダを開いて探す工程が、そのまま無くなります。資料は「関連データ」の欄から渡せます。

ナレッジ追加。資料は「関連データ」の欄からも渡せます。(資料から作成)
答えの下に、もとにした資料名とページ番号が出る
調べ直しがいちばん減るのはここです。読んだ人がその場で確かめられるので、担当者に確認の連絡が来ません。

出典表示。答えの下に、もとにした資料名とページ番号が出ます。(AI自動応答)
往復:2問目以降は、主語を省いても通じる
「型番を教えてください」の1往復が消えます。前の質問を踏まえて続きを聞けるので、聞き直しが要りません。

3往復のやりとり。2問目以降は主語を省いても通じています。(AI自動応答)
人に渡すときは、往復の数と状態を見てから入れる
何を聞かれたうえで回ってきたのかが分かった状態で答えられます。

進行中の会話の一覧。往復数と状態を見てから参加できます。(会話への割り込み)
やりがちな失敗
返信の速さだけを目標にする
「1時間以内に返信」を目標にすると、調べきる前のあいまいな返信が増えます。結果として往復が増え、合計時間は延びます。速さを測るなら、初回返信までの時間ではなく解決までの時間を見てください。
テンプレートを増やしすぎる
状況ごとに文面を用意していくと、いつのまにか50個になっています。探す時間と、古くなった文面を使ってしまう事故が増えます。よく使う10個に絞って、残りは消すほうが速くなります。
自動化したのに、人の確認を全部残す
自動で答えた内容を毎回担当者が確認していると、工数は減りません。確認するのは「答えられなかったもの」と「人に渡ったもの」だけにして、うまくいったやり取りは月に一度まとめて眺める形で十分です。
受け方を変えると、聞き返しが消える
聞き返しをなくすいちばん確実な方法は、受け付ける時点で必要なことを聞いてしまうことです。ただし、フォームの項目を全部必須にすると送信されなくなるので、内容によって聞く項目を変えるのが実務的です。
| 用件 | 先に聞いておくこと | 聞かないと起きること |
|---|---|---|
| 製品の不具合 | 型番・購入時期・症状・いつから | 「型番を教えてください」で1往復 |
| 見積もりの依頼 | 数量・希望納期・用途 | 概算すら出せず、電話で聞き直し |
| 請求まわり | 請求月・請求番号・会社名 | 該当の伝票を特定できない |
| 納期の確認 | 注文番号 | 調べる工程に入れない |
用件を選んでもらってから、それに応じた3項目だけ聞く。この形なら、送信率をあまり落とさずに聞き返しを減らせます。
「調べる」を短くする、地味な工夫
資料の置き場所を全部そろえるのは大仕事ですが、小さく効く工夫もあります。
- よく調べる上位10件だけ、1か所にまとめる。全部を整理しようとすると終わりません。使用頻度の高い10件で、調べる時間の多くが説明できます
- ファイル名に日付と用途を入れる。「20260401_送料規定.pdf」の形にしておくと、開かずに古さが分かります
- 過去の回答を検索できる場所に残す。同じ調べ物を2回しないための最短の工夫です
- 他部署に聞く定型の質問は、先に答えをもらっておく。毎回聞いている内容は、たいてい3つくらいに固定されています
4つ目は見落とされがちです。他部署への確認は、待ち時間が発生するぶん実時間を大きく食います。よく聞く3つを先に文書でもらっておくだけで、その待ち時間が消えます。
よくある質問
問い合わせ対応の工数は、どうやって測ればいいですか?
1日だけ、5件を対象に「受け取ってから終わるまで」を測ってみてください。あわせて、何を調べたか・何回やり取りしたか・聞き返した理由の3つをメモします。全件を正確に測る必要はありません。5件で同じ理由の聞き返しが2回出てきたら、そこが最初に手を付ける場所です。
テンプレートを整備すれば工数は減りますか?
多少は減りますが、いちばん大きい部分には効きません。時間を食っているのは文面を書く工程ではなく、調べる工程と聞き返しの往復だからです。テンプレートは10個ほどに絞って、余った労力を「聞き返しをなくす」ほうに回すと効き方が変わります。
自動化すると、対応の質が落ちませんか?
自動で答える範囲を定型の質問に限れば、質はむしろ安定します。営業時間や送料のような答えが1つに決まる質問は、人が答えても機械が答えても内容は同じで、機械のほうが待たせません。判断が要る相談は人が持つ、という線引きを先に決めておくのが大事なところです。
何人体制から効果が出ますか?
1人でも出ます。人数が少ないほど、問い合わせが来るたびに本来の仕事が中断される損失が大きいためです。むしろ大人数の窓口より、兼任で受けている少人数のほうが、1件あたりの時間を削る効果を実感しやすいはずです。
メールだけで受けている場合も同じですか?
考え方は同じですが、メールは往復が長引きやすい分だけ「聞き返しをなくす」の効きが大きくなります。返信の中で複数の質問をまとめて聞く、必要な情報を箇条書きで示す、といった小さな工夫でも往復は減ります。自動返信の設計は問い合わせの自動返信メールの記事で詳しく扱っています。
まとめ:削るのは、書く時間ではない
問い合わせ対応の工数は、読む・調べる・書く・往復の4つに分かれていて、削る効果が大きいのは往復と調べる時間でした。順番としては、聞き返しをなくす → 調べる先をまとめる → 答えを再利用する → 人が出る前に片づける、が動かしやすいと思います。
SHIRITAIは、資料をそのまま読ませて答えさせる、必要なことを先にたずねてから担当者に渡す、会話ごと引き継ぐ、といった形で「調べる」と「往復」に効くように作っています。どのくらい短くなるかは自社の資料で試すのがいちばん早いので、無料トライアルで実際の資料を読ませてみてください。
SHIRITAI(シリタイ)は、HELATH株式会社が提供するAIチャットボットサービスです。