インサイドセールスとチャットボット|電話をかける前に、何を読んでおくか
インサイドセールスでチャットボットに持たせる役目は、フォームを埋めずに帰る人から、先に用件を受け取ることです。どのページで止まって、何を確かめたがっていたのか。一本かける前にそこまで分かっていれば、一言目を相手に合わせられます。
来訪した企業を割り出したり、見込みの高さを点数にして知らせたりする道具とは別物です。手に入るのは、相手が自分の言葉で書いていった内容と、それを残した記録のほうになります。
リストはあるのに、一言目が決まらない
インサイドセールスの席に座っていると、一日の大半は電話とメールで終わります。展示会でもらった名刺、問い合わせフォームから送った案内、以前に資料をお渡しした先。リストそのものは手元にあるはずなのに、受話器を上げた瞬間に「さて、何から話そうか」で数秒止まる。その数秒が、一日に何十回も繰り返されます。
問い合わせが入っている相手なら話は早いです。ただ、その問い合わせは月に数件しか来ません。届いた分だけを追いかけていると、件数は増えないまま月末になります。かといってリストの上から順にかけていくと、相手はこちらが送った案内を覚えていないことのほうが多く、自己紹介からやり直しです。
つまり困っているのはリストの数ではなく、相手のことを何も知らないまま話し始めなければならない、その一点です。この記事は、電話をかける前に何を手に入れておけるか、という話です。
問い合わせフォームは、いちばん最後に埋まる
フォームに社名と氏名とメールアドレスを書く、というのはそれなりに重い行動です。上長に相談して、社内で「一度話を聞いてみるか」というところまで進んだ人が、最後にやることに近い。逆に言えば、そこまで進んでいない人はフォームを開きません。読んで、そのまま帰ります。
こちらから接点をつくったあと、相手が最初にやることが何なのかは、公的な場に出ている調査からある程度うかがえます。日本ダイレクトメール協会が2024年9月に総務省の会議へ提出した「DMメディアの現状」という資料に、本人宛のダイレクトメールを受け取った人の行動が載っています。2023年12月調査・回答1,076人のうち、何か行動した人は19.7%。その行動の中でいちばん多いのが「ネットで調べた」10.0%で、「問合せた」3.5%、「資料請求した」1.1%を上回っていました(複数回答)。
紙のダイレクトメールの調査なので、そのまま自社に当てはめる数字ではありません。ただ、受け取った人がまずやるのは問い合わせではなく、調べて見に来ることという順番は、フォーム営業でもメールでも展示会後でも、そう変わらないはずです。

自社の割合は、自社で数えるしかありません。先月のサイトの表示回数と、先月の問い合わせ件数を同じ紙に並べてみてください。その差が、いま何も受け取れていない人の数です。フォームとチャットの役割の違いは問い合わせフォームとチャットボットの違い|フォームで足りる場合と、足りない場合にも書いています。
先に「何に困っているか」を受け取る
手前にいる人から何かを受け取ろうとすると、待っているだけでは足りません。相手が黙って帰る前に、こちらから一言かける必要があります。
SHIRITAIの詳細設定で「営業AIモード」を選ぶと、サイドバーにトリガーという項目が出てきます。トリガーは、どのページで・どこから来た人に・いつ・誰に・何回・何を出すかを決める設定です。料金ページで15秒とどまった人に声をかける、といった条件を作れます。条件が重なったときは優先順位の高い1本だけが出るので、いくつ作っても画面が声かけだらけにはなりません。詳しくは営業AIモードの機能ページにまとめてあります。
声をかけて返事が返ってくると、そこから先は会話です。「他社と比べて何が違うのか」「うちの規模でも使えるのか」「見積もりは出してもらえるのか」。この三つは、電話でもたいてい聞かれます。それを電話より前に、相手の言葉のまま受け取れます。
会話は、あとから絞り込んで読み返せる
やり取りは利用履歴に残ります。一覧には利用日時、経由、お客様の入力内容、送信元のページが並び、表示を押すとチャット画面と同じ見た目で会話を読み返せます。質問内容での検索は会話全体が対象なので、会話の途中に出てきた言葉でも、その会話が見つかります。月を切り替えて追えますし、CSVに書き出すこともできます。

ここを読む習慣がつくと、「うちのサイトに来る人が、いま何で迷っているか」が毎週更新されます。営業資料の順番を入れ替える材料にもなりますし、電話のトークの入り口にもなります。読み方の勘所は会話ログとは?チャットボットの記録から「お客さまの本音」を見つける読み方と活かし方にまとめました。
SHIRITAIでは、どこを触るか
1. 送った案内から来た人に、印をつける
フォーム営業やメールに載せるリンクに、あらかじめ印をつけておく方法があります。SHIRITAIには受け取るキーをカンマ区切りで登録しておく設定があり、登録したキーだけが利用履歴に残ります(値は200文字まで)。渡し方は、設置ページのURLに付ける/埋め込みコードに書く/ページ側の変数で渡す、の三通りです。
たとえば案内メールのリンクに campaign というキーを付けておけば、利用履歴でその値だけを絞り込んで読めます。書き出したCSVにも列として並びます。「8月に送った案内から来た人は、料金の質問が多かった」くらいのことは、これで分かります。設定の詳細はURLパラメータ受け渡しのページにあります。
パラメータには、氏名やメールアドレスなど個人が分かる値を入れないでください。入れるのは「どの案内から来たか」の印までで足ります。
2. 話したいと言われたら、その場で人が出る
会話が具体的になってくると、AIの回答だけでは足りない場面が来ます。金額の相談、納期の相談、うちの場合はどうなるかという相談。このときお客様側のチャットには「担当者に聞く」が出ているので、押せば人につながります。この有人対応はスタンダードプラン以上で使える機能です。

管理側では、AIとのやり取りが見えた状態で担当者が会話に入ります。相手に同じ説明をもう一度させずに済みますし、送信する前に文面を確認できます。

インサイドセールスの立場で言えば、これは電話をかける前に、相手のほうから話しかけてくれた状態です。渡す線の引き方はAIチャットボットの有人切替(ハイブリッド対応)をうまく設計する方法で詳しく扱っています。
3. 連絡先は、フォームと資料で受け取る
会話が続いても、名乗ってもらえなければ電話はかけられません。連絡先を受け取る道は二つ用意されています。ひとつはチャットの中にお問い合わせフォームを出す形で、ページを移動させずに送信まで進めます。もうひとつは資料ダウンロードで、資料と引き換えに連絡先をいただき、申し込んだ方には自動でメールが届きます。
届いた内容は受信内容の管理に集まります。問い合わせも資料請求も同じ画面に並び、対応状況とメモを残せるので、誰がどこまで話したかが分からなくなる状態は避けられます。導線の作り方はチャットボットでリード獲得を強化する|問い合わせが生まれるサイトの3つの導線もあわせてご覧ください。
ホットリードは、どこまで見分けられるか
ホットリード、つまりいま話を聞いてもらえる見込みが高い相手を先に見つけたい。この仕事でいちばん知りたいのは、たぶんそこです。ここは正直に書きます。
SHIRITAIで見分けられるのは、会話の中身、アンケートに答えてもらった内容、リンクに付けたパラメータ、この三つの範囲までです。

できないことも並べておきます。来訪した企業の特定はしません。IPアドレスから会社名を割り出す仕組みは持っていません。送ったメールを誰が開いたかを個人に紐づけることもしません。見込みが高い相手を点数で見分けて、営業支援システムやチャットツールへ自動で通知を飛ばす、という仕組みもありません。ただし問い合わせ・資料請求・「担当者に聞く」の3つは、届いた時点で担当者へメールが自動で届きます(宛先は設定で複数指定できます)。
その代わり、会話とアンケートの答えは残ります。アンケート型の声かけを使うと、1問ずつ質問を出して、選んでもらった答えが設問ごと・選択肢ごとに集計されます。「導入時期はいつごろですか」を一問だけ置いておけば、いつごろを選んだ人が何人いたかが、選択肢ごとの集計として残ります。
そして、名乗ってくれた相手については話が別です。フォームや資料ダウンロードで連絡先をいただいた会話は、その人の会話として読めます。電話をかける相手の会話が、かける前に読めるのはこの部分です。
電話をかける前の5分
道具の話より、順番の話のほうが効きます。朝いちばんにやることを決めておくと、材料が使われないまま流れていくのを防げます。

- 利用履歴を開いて、昨日の日時のところまで一覧を見る
- 連絡先が残っている会話から先に読む(そこが今日かける相手)
- 同じ質問が三件以上あった話題を一つ選ぶ(そこが今日の一言目)
- 担当者に代わってほしいと言われたまま返せていない会話がないか確かめる
この5分があると、電話の一言目が変わります。「先日お送りした資料の件でご連絡しました」で始めるかわりに、こう言えます。
「先日の資料の件です。料金の考え方のところが分かりにくいというお声を、今週何件かいただいていまして。御社でも同じところが気になっていないかと思ってお電話しました」
後者は、こちらが売りたいものではなく相手が引っかかっている場所から入っています。その材料は、会話の記録の中にあります。商談前の質問を営業が受けずに済ませる考え方はチャットボットの営業活用|商談前の質問を、営業が受けない仕組みにも書きました。
向かないときは、無理に使わない
サイトに来る人がそもそも少ない時期は、材料が貯まりません。まず来てもらう手を打つほうが先です。声かけを増やして反応の数だけを稼ぐのも、あまり意味がありません。アンケートに答えただけの人が話したがっているとは限らないからです。読まずに件数だけを見るなら、この仕組みは入れなくても構わないと思います。
実際の声かけと、返ってくる答え
会話の例を三つ載せます。どれも、電話の前に受け取れる材料です。
条件:料金ページ/滞在15秒/同じ訪問者には一度だけ
料金の見方でご不明な点はありますか。「人数が増えたとき」「最低利用期間」「他社との違い」からお選びいただけます。
他社との違い。あと、うちは拠点が3つあるんですけど分けて使えますか
登録した内容:導入までの流れ(申し込み、初期の登録作業、公開まで)
今月中に動かしたいんですが、間に合いますか
お申し込みのあと、答えの登録と設置をしていただく流れです。よく届く質問を20件ほどご用意いただけていれば、そこから先は早く進みます。お急ぎの事情がありましたら、担当者から具体的な日程をご案内できます。
場面:資料ダウンロードで連絡先をいただいたあと、同じ人がチャットに戻ってきたところ
資料の3ページ目にあった構成図、うちの基幹システムとつなげますか
つなぎ方はご利用中のシステムによって変わります。差し支えなければ、お使いのシステム名をお教えください。担当者に代わってお答えすることもできます。
困りごと別|SHIRITAIで解決できること10
左が現場でいま起きていること、右がSHIRITAIでどう受けられるかです。
| いま起きていること | SHIRITAIでどう受けるか |
|---|---|
| 問い合わせが来てからしか動けない | その手前で条件を決めて声をかけ、会話として受け取る |
| 電話の一言目が毎回同じになる | 今週よく聞かれた質問を、話の入り口に使う |
| 送った案内から来たかどうか分からない | リンクに付けた印を利用履歴で絞り込む |
| 営業時間外の関心を翌日に引き継げない | 時間帯に関係なく一次対応が動き、やり取りが残る |
| 相手の温度が読めないまま架電している | 会話とアンケートの答えを読んでから順番を決める |
| 担当者と話したい人を待たせている | 「担当者に聞く」から、その場で人が会話に入る |
| 同じ説明を相手に何度もさせている | AIとのやり取りが見えた状態で引き継ぐ |
| 連絡先を受け取る場所がフォームしかない | チャットの中のフォームと、資料と引き換えの申し込み |
| 誰がどこまで話したか分からなくなる | 受信内容の管理に集約し、対応状況とメモを残す |
| 声かけが効いているのか判断できない | トリガーごとの表示回数・反応数・反応率を見る |
十個を一度にやる必要はありません。上から二つか三つ、いま詰まっているところから手を付ければ足ります。
よくある質問
サイトに来た会社名は分かりますか?
分かりません。IPアドレスから企業名を割り出す仕組みは持っていません。分かるのは、会話の中身、アンケートに答えてもらった内容、リンクに付けたパラメータの範囲までです。社名や連絡先は、フォームや資料ダウンロードで教えていただく形です。
見込みの高い相手が現れたら、通知は飛びますか?
見込みの高さを点数にして知らせる仕組みはありません。ただ、問い合わせ・資料請求・「担当者に聞く」が届いたときは、担当者へメールが自動で届きます。宛先は設定で複数指定できるので、営業の共有アドレスを入れておくと取りこぼしません。点数での並べ替えが要るなら、そこは人が会話を読んで決める形になります。
送ったメールを誰が開いたかは分かりますか?
分かりません。メールの開封を個人に紐づけて追いかけることはしていません。できるのは、リンクに印を付けておいて「その案内から来た人の会話」をまとめて読む、というところまでです。個人が分かる値をリンクに入れるのは避けてください。
架電の件数は増えますか?
件数そのものより、一件あたりの中身が変わる、と考えたほうが近いです。数えるなら、会話が発生した数、連絡先を残してもらえた数、担当者に代わった数の三つです。この三つを毎週同じ場所で数えると、声かけの条件を変えたときの手応えも見えてきます。
費用はどれくらいですか?
SHIRITAIは月額9,800円から用意しています。プランごとの違いは料金ページをご覧ください。判断の前に、先月のサイトの表示回数と問い合わせ件数を並べて数えておくと、どれくらい取りこぼしているかが見えて、話が具体的になります。
まとめ
インサイドセールスがしんどくなるのは、相手のことを知らないまま話し始めるからです。問い合わせが来るのを待つと、知っている相手は月に数件しか増えません。その手前で声をかけて会話を受け取っておけば、電話の一言目に使える材料が毎日たまっていきます。
順番としては、①料金ページなど迷いが出る場所に声かけを一つ置く ②利用履歴を毎朝5分読む ③連絡先を受け取る場所をチャットの中にも作る、の三つです。会社名を当てにいく仕組みではありませんが、相手が自分の言葉で書いた困りごとは、推測した会社名より使えるはずです。
実際の画面で試してみたい場合は、無料トライアルで自社の料金ページに声かけを一つ置いて、返ってくる言葉を見てみてください。
SHIRITAI(シリタイ)は、HELATH株式会社が提供するAIチャットボットサービスです。